心ある先生方が「やる気の搾取」されない仕組み作り急務

しかし、筆者が現実に接している先生方の多くは、情熱を持って、献身的に仕事に取り組んでいる。ある私立中高一貫校で勤続25年を数えるベテランの先生はこう言った。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Satoshi-K)

「なりたいと思ってなった教員という職業。この仕事をどう職場で楽しんでいくかだと思います。目の前の慕ってくれる在校生や卒業生、彼らのためにもこの母校を失くしてはならないという、個人的な使命感から自分は、何があろうとも職場に残って、心が通じ合う教員仲間と共にこの学校を支えていくつもりです」

「OECD国際教員指導環境調査(TALIS)2018」でも明らかになったように、日本の教員の仕事時間は世界一長く、中でも、部活動や事務が負担になっているとの結果が出ている。国は2019年1月25日の中央教育審議会答申を受けて、「学校の働き方改革」を推し進めている。

心ある先生方が「やる気の搾取」をされることなく、本来の業務である授業準備や児童・生徒と向き合えるに十分な時間を確保して、やりがいを持って職務に励めるようになってほしい。そのためには、文部科学省や教育委員会から現場の学校へ、というトップダウンだけでなく、現場発信のボトムアップができる、透明性を伴った環境づくりが必要であることは言うまでもない。

少子化を踏まえ、学校存続の危機が叫ばれている中、これまで以上に、学校トップの責任は重くなるだろう。今回の事件を「他山の石」とできるような「教育の使命・ビジョン」を持った学校が増えることを期待したいところだ。

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