※本稿は、菅野朋子『いじめられっ子だった弁護士が教える自分の身のまもり方』(草思社)の一部を再編集したものです。
元いじめられっ子だった弁護士の後悔
私は中学の終わりから高校2年まで、学校で陰湿ないじめを受けました。いじめのせいで、摂食障害やうつ病を患い、生きていることがつらいと感じるようになりました。
20代で出産を経験し、30歳を目前に控えたあるとき、一念発起して司法試験への挑戦を決意。5回目の試験で合格することができ、それ以降は弁護士として仕事を続けています。
今、いじめを受けていたころの記憶を思い返すとき、「あのとき、こうすればよかったな」と考えることがあります。一番強く思うのは「もっと早く大人に相談していたら」ということです。勇気を持って早めに助けを求めていたら、いじめをやめさせることができ、学校にも普段どおり通い続けられたかもしれません。
この本は、そんな私自身の経験と弁護士としての知識をもとに、いじめに立ち向かい、自分の身を守るための方法をお伝えするために書きました。今この本を手に取った人の中には、現在進行形でいじめに悩む人や、その親御さんがいると思います。
残念ながら、人間がいる限り、この世界からいじめがなくなることはありません。いじめはなくなることがベストですし、なくすために努力もすべきです。しかし、完全になくすことは不可能です。
ですから、いじめをなくすための方法を考えていくだけでなく、いじめが起きたときの対策を考えておくこともとても大切です。
話を聞くのをあとまわしにしてはいけない
ここからは、いじめを受けている子のお父さんやお母さんに伝えておきたいことをまとめます。
まずは、お子さんの話に必ず耳を傾けましょう。どんなに忙しくても、話を聞くのをあとまわしにしないでください。
子どもがいじめについて話そうとしているときは、覚悟を決めて、勇気を振り絞りながら行動しているときです。
そのタイミングを逃すと、子どもは話すのをあきらめてしまうかもしれません。そして、もう親に助けを求めるのをやめてしまう可能性があります。
どうしても、子どもが話しかけてきたタイミングでは対応できないときも、「あとで聞くよ」などと軽く返さないようにしてください。
「あとで必ず時間をつくってじっくり話を聞くからね」と伝えた上で、改めて時間を取るようにしましょう。