子どもの不安を取り除く言葉

お子さんからいじめについて相談されたときには、まずは共感することが大切です。

「ああ、それはつらかったね」と共感した上で、「何があってもあなたの味方である」というメッセージを伝えてください。

いじめられているとき、子どもは疑心暗鬼に陥っています。本当に親が自分を守ってくれるのか不安に感じています。

ですから、お子さんの不安を取り除く言葉をどんどん口にしてあげましょう。

「とってもつらかったと思うけど、でも大丈夫だよ。お父さん/お母さんがついているからね」

「お父さん/お母さんはあなたの味方だからね」

このように伝えることで、お子さんは安心できると思います。

注意してほしいのは、子どもを励ますつもりで突き放してしまうパターンです。よくあるのが「なんでそんなことで悩んでるの? くだらないことじゃないの」「そんなのほっときなさい」といった言葉かけです。

あるいは、「いじめられたら、同じようにやり返しなさいよ」と子どもをけしかけるような言葉をかける親もいます。

こうした言葉は子どもにプレッシャーを与え、絶望感をもたらします。あくまでも子どもに共感して味方をする言葉がけを意識してください。

膝を抱えてベッドに座っている子ども
写真=iStock.com/sestovic
※写真はイメージです

共感しても同調はしない

そしてもう一つ大切なのは、子どもに共感しても同調はしないということです。

「つらいよね」と共感するのはよいのですが、子どもと一緒になって落ち込んだり、「どうすればいいんだろう」と迷ったりしていたのでは、子どもはいつまでも救われません。

親がうろたえると「やっぱり言わなければよかったな」「親を心配させて悪かったな」と子どもが後悔してしまうおそれもあります。

自分の子どもがいじめを受けていると知ったら、びっくりするのは当然でしょう。

怒りを覚え、感情的になってしまうこともあると思います。

実際に、私のもとに相談に来る親御さんの中には、当事者であるお子さん以上に怒っている方がいらっしゃいます。

「相手の子を停学にさせたいんですけど、どうすればできますか?」

開口一番、このような相談を受けることもあります。

「それはお子さんが本当に望んでいることですか?」と尋ねると、果たして親御さんだけが先走っているとわかることがあるのです。

親御さんには、いじめ問題に関してどんと構えていただきたいと思います。どこまでもお子さんの味方であり、共感もしてほしいのですが、客観的視点を失ってはいけません。