客観的な記録を残す

お子さんの言い分は当然信用すべきですが、その一方で「相手方の話や周りの子の話も聞いた上で判断される問題である」という視点も持っておく必要があります。

右から光を当てたときと、左から光を当てたときでは、同じものでも違って見えます。それと一緒で、もしかしたら当事者同士で誤解が生じているかもしれないですし、その誤解を解くだけで問題が解決することもあります。

ですから、感情的にならないでください。あくまでも冷静な立場で、自分が解決に向けてできることを考えていくことが大切です。

例えば、お子さんがいじめの証拠を記録できるようであれば、証拠を残すようにアドバイスをするのもよいと思います。客観的な記録があれば、解決に向けて前に進むこともできるようになります。

黙っておくはNG

また、親御さんが自分だけで解決しようとしないことも大切です。私から見て、お母さんが問題を抱え込み、ひとりで対処しようとするケースが多いと感じています。

お母さんが「いじめられているのは恥ずかしいこと。なるべく黙っておいたほうがいい」と考えるのは逆効果です。

お父さんがいるならお父さんに相談すべきですし、学校で起きたことは学校に相談して解決するのが基本です。さらに、事件性がある場合は警察への通報も必要でしょう。

その上で、弁護士や法務局の人権相談窓口などに相談する方法もありますので、とにかく「誰かに相談して解決する」ことを心がけましょう。

学校に行かせるべきかどうか

お子さんがいじめを受けているとわかったとき、親御さんは「このまま学校に通わせてよいのか」という悩みに直面すると思います。

いじめを知った瞬間に「もういい。学校なんか休みなさい」と積極的に休ませようとする対応が多く見られます。しかし、これには手放しでは賛成できません。

菅野朋子『いじめられっ子だった弁護士が教える自分の身のまもり方』(草思社)
菅野朋子『いじめられっ子だった弁護士が教える自分の身のまもり方』(草思社)

私は、学校に行けるのであれば、行くに越したことはないと考えています。一度学校から離れてしまうと、復学するハードルはどんどん高くなっていきます。

少しでも登校できる余地があるのなら、登校したほうがいいと思うのです。

ただし、本人が「どうしても学校に行くのは無理」と言う場合は、登校を強制すべきではありません。学校はそこまでして通わなければならない場所でもないからです。

最悪なのは、嫌がる子どもを引きずるように学校に向かわせる行為です。これだけは絶対に避けてほしいところです。

休学や転校などは、本人の意思を尊重しながら、慎重に判断していただきたいと思います。

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