※本稿は岩竹美加子『フィンランドの教育はなぜ世界一なのか』(新潮新書)の一部を再編集したものです。
非加入を許されなかった日本のPTA
2001年、東京都杉並区立の小学校に息子が入学し、PTA加入の申込書を受け取った。そこには、「加入する」と「加入しない」の2つがあり、私は「加入しない」に○をつけて提出した。1週間ほどたって、副会長と名乗る女性から電話があり、冷ややかな口調で「全校で加入しないと言っているのはお宅だけ」で、「加入しないのなら、お子さんはPTA主催の催しに参加できません」と告げられた。
加入しない理由を聞くこともなく、懐柔しようとすることもなく、ためらいもよどみもない冷たい口調は、きっと前もって練習していたのだろう。有無を言わせない強い態度だった。加入を誘う時は、加入するとこういう良いことがありますよ、楽しいですよと誘うのが普通だろう。しかし、PTAでは、こういう悪いことがありますよ、お子さんはPTA主催の催しに参加させません、いじめますよという脅しが誘いのかわりなのだ。