PISA(15歳児童の学習到達度国際比較)で、多くの分野において1位を獲得し、“世界一の教育”と注目を集めるフィンランド。親と学校のかかわり方も日本のそれとはまったく違っていた。ヘルシンキ大学非常勤教授で、息子さんを東京とフィンランドの両方で育てた経験のある岩竹美加子さんが指摘する日本とフィンランドの決定的な違いとは――。

※本稿は岩竹美加子『フィンランドの教育はなぜ世界一なのか』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

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非加入を許されなかった日本のPTA

2001年、東京都杉並区立の小学校に息子が入学し、PTA加入の申込書を受け取った。そこには、「加入する」と「加入しない」の2つがあり、私は「加入しない」に○をつけて提出した。1週間ほどたって、副会長と名乗る女性から電話があり、冷ややかな口調で「全校で加入しないと言っているのはお宅だけ」で、「加入しないのなら、お子さんはPTA主催の催しに参加できません」と告げられた。

加入しない理由を聞くこともなく、懐柔しようとすることもなく、ためらいもよどみもない冷たい口調は、きっと前もって練習していたのだろう。有無を言わせない強い態度だった。加入を誘う時は、加入するとこういう良いことがありますよ、楽しいですよと誘うのが普通だろう。しかし、PTAでは、こういう悪いことがありますよ、お子さんはPTA主催の催しに参加させません、いじめますよという脅しが誘いのかわりなのだ。