運営経費の9割が宝くじの収益金から

お会いしたのは、トゥイヤ・メッツォさんとアンリ・レヴェーラハティさん。スペシャル・エキスパートという肩書のメッツォさんは20年、組織活動エキスパートのアンリさんは8年、「親達の同盟」で働いている。とてもフレンドリーで、エネルギー溢れるお二人である。現在、10人のスタッフがいて、同盟長を含む女性8人、男性2人の構成である。

そのうち6人がパーマネントのポジションで、4人は、3年間のプロジェクトの助成金を得て勤務している、任期付きのポジションである。

「親達の同盟」を運営するための経費であるが、その90%は、宝くじの収益金から来ているという。宝くじの収益は、社会福祉保健関係、文化・芸術・学術、スポーツ、青少年関係、馬術や馬のスポーツ競技などに使われる。また、教育庁といくつかの財団からも少し予算を得ている。毎年、申請する必要があるが、ネットで行うので、手間はかからない。「親達の組織」には、会費を取る所と取らない所がある。会費を取る組織があっても、全額、自分達の活動のために使う。その一部が「親達の同盟」に上納金として流れることはない。会計報告は、毎年出している。

日本のPTAとの決定的な違い

さっそく、お二人の話に入ろう。「親達の組織」は、保育園から高校まで作ることができる。必要があれば作る任意組織なので、作っていない所も多い。親達の同盟のホームページは、組織を作る際の参考として、モデルとなる規約を掲載しているが、このような活動をすべきというような指示は出していない。親・保護者が、その時点で必要と考えること、関心のあることを行っている。親が学校に関心を持ち、学校と関わることが重要で、それをどう行うかは自由である。

現在、フィンランドの約78%の小中学校で、定期的に「親達の組織」の活動、あるいはそれに相当する活動があるという。つまり、「親達の組織」はないが、親が何らかの活動を行っている学校もある。

「親達の組織」がある学校に子どもが入学しても、親は自動的に組織の会員にはならない。加入できることは知らされるが、勧誘はなく、まして強制されることはないという。私は、会員だったことは1度もないが、会員になれと言われたことはない。