日本の学校に必要なのは“地域の協力”より弁護士

最近は、PTA加入が実は任意であることを周知する動きがある。それは、2010年、民主党政権時代に起きたことである。しかし、非加入の親・保護者が増えることを恐れて、知らせたがらない傾向も見られる。PTAと学校が別組織であるということも、最近知られるようになったことである。

息子の小学校で、会長経験者の女性はPTAをどうにか改革したい、メンバーの意識を改革するために、活動している人を講師として呼びたい、アメリカンスクールではどんなPTA活動をしているのか勉強したいと強く思ったという。しかし、教育委員から改革は困ると言われたと話してくれた。会員が充分な知識を得る権利は、認められていないのだ。

私は、日本の学校に必要なのは弁護士だと何度か思った。町内会や青少年育成委員会、その他学校を取り巻く煩雑な組織はいらない。地域との協力もいらない。なぜなら地域が具体的に意味するのは、町内会会長や青少年育成委員会会長など、地元の名士的な人を指す場合が多い。杉並の学校では、それは複数の役を兼ねる同一人物だったり、またはその奥さんだったりした。地元で発言力を持ち、年輩、年上であるということが権威になり、PTAのお母さん達が敬語で接する関係になる。いじめ問題などの対応についても当然、素人だ。そうした点を考えると、弁護士は、一校に一人とは言わないが、少なくとも区のレベルでは必要だと思った。

フィンランドの保護者組織「親達の同盟」とは

フィンランドには「親達の組織」と呼ばれる保護者組織がある。学校とは別の任意の市民団体で、すべての学校にあるわけではなく、ない学校も多い。上部組織として「親達の同盟」という組織があって、相談に応じたり、助言、提言したりする。また、家庭と学校を支援するプロジェクトなどさまざまな活動を行っている。

2018年5月、インタビューのため「親達の同盟」の事務所を訪れた。ヘルシンキの中心エリアで、歴史を感じさせるアールヌーボー様式の建物の中にある。「親達の同盟」の前身である「家庭養育協会」は、1907年に創立された。当時の事務局長の住居を改装した、広々としたオフィスである。

通されたのは、リビングルームのような部屋で、窓と壁に沿ってコの字型にソファが置かれている。壁の色は濃い目のグレー。壁には、100年以上の歴史を持つこの組織の写真が、たくさん飾られている。コーヒーとクッキー、イチゴでもてなされた。