「放置しない、行動こそ」という意味不明な朝日社説
一方の朝日新聞の社説(10月25日付)はどう書いているのか。見出しに目をやると、「日韓首相会談 放置しない、行動こそ」とある。奇をてらったのだろうか。よく分からない見出しである。
書き出しは「日本と韓国の冷え切った関係をこのまま放置できない――。その危機感を両首相は認めあったという。それが本気ならば、行動で示すべきだ」である。これを読んで初めて見出しの意味が理解できる。社説としてまずい見出しの立て方である。
朝日社説は書く。
「安倍氏と李洛淵氏がきのう、東京で会談した。『即位礼正殿の儀』にあわせて来日した李氏は、文在寅大統領を支える政権ナンバー2である」
「首脳級の会談自体が久しぶりのことだ。貿易、観光、市民交流など広範に悪影響がでている今に至るまで、事態をこじらせた両政権の責任は重い」
「今回の会談でも、両首相の抽象的なことば以外の成果は伝えられていない。互いに相手の譲歩を待つだけなら、放置と同じことだと悟るべきだろう」
「両政権の責任は重い」「放置と同じことだ」という朝日社説の主張は、喧嘩両成敗といったところだろう。
読み手が思わず膝を叩く論を展開してほしい
読売社説は韓国を一方的に攻めるだけだったが、そうでないとすれば朝日新聞として具体的にどう考え、何をすべきだと言いたいのかを書く必要があるだろう。
社説は一人で書くわけではない。毎日、論説委員たちが何人も集まり、時間をかけて議論を重ねる。沙鴎一歩が一人で考えて書くのとはわけが違う。読み手が思わず膝を打つような論を展開してほしい。それでこそ社説だろう。
最後に朝日社説はこう訴える。
「来月初めには、タイで日韓両首脳の出席が予定される国際会議がある。互いを傷つけあう不毛な諍いに終止符を打つため、政治の強い意志を示すときだ。日韓首脳が1年以上も会談していないのは異常である」
「安倍氏と文氏は早急に直接向きあい、両国民の利益を探る理性を見せてもらいたい。厳しい時間が長引くほど、関係のもつれをほぐすのは難しくなる」
朝日社説の書く「政治の強い意志」や「両国民の利益を探る理性」とは何なのか。このあたりも具体的に示してほしかった。