「日本側にも問題がある」と言いたい韓国の本音

10月24日の安倍首相との会談で韓国の李首相は「両国が知恵を集めて難関を克服していけると信じている」と語った。「日本側にも問題がある」と言いたいのだろう。この発言も気になる。

文大統領の本音がどこにあるのか。そこを見極め十分に理解したうえで日韓首脳会談の求めに応じることが肝要だろう。

日韓関係悪化のきっけとなったのが、いわゆる徴用工訴訟の問題だ。第2次大戦中に日本企業で強制労働させられたと主張する韓国人元労働者と遺族が日本企業に賠償を求めたもので、日本政府と韓国政府の認識は大きく違う。10月24日の日韓会談でも、その違いが浮き彫りになった。

元徴用工への賠償命令を放置した文在寅氏

これまでの日韓対立の経緯を振り返っておこう。

昨年10月30日、韓国大法院が元徴用工への賠償を新日鉄住金(現・日本製鉄)に命じた判決を確定させた。

日本側の主張は「賠償問題は『完全かつ最終的に解決された』と確認した日韓請求権・経済協力協定に違反する。韓国が国内の問題として対処すべきだ」である。

これに対し、韓国側は「請求権協定は順守するが、協定の解釈に違いがある。三権分立の基本原則により、行政府は司法府の判断を尊重しなければならない」と主張した。

韓国は文大統領の政治的判断・決断によって大法院の判決を覆すことは可能なはずである。それを行おうとはしない文氏に非がある。沙鴎一歩はこれまでそう主張して書いてきた。

日本が輸出手続き上の優遇国(ホワイト国)から韓国を除外することを閣議決定したのは今年8月2日だった。それ以降、文政権は国内外で激しく日本批判、反日キャンペーンを展開した。

8月22日には対抗措置として日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄まで決めた。同協定は11月23日に失効する。失効した場合、北朝鮮がミサイルを打ち上げても日本は直接韓国から情報を得ることができなくなる。