韓国に「貸し」を作ることを優先したほうがいい
安倍首相は24日の李首相との会談で、元徴用工への賠償を日本企業に命じた昨年10月の韓国大法院(最高裁)判決について、「国際法の日韓請求権・経済協力協定に明確に違反し、日韓関係の法的基盤を根本から崩す。国と国との約束を順守することにより、日韓関係を健全な関係に戻していくきっかけを作ってもらいたい」と呼びかけた。
この安倍首相の呼びかけは正論である。しかし外交では正論を主張すればするほどこじれることもある。そこが外交の難しいところだ。ここは正論を強く主張せずに、韓国の求める日韓首脳会談に応じ、貸しを作ることを優先したほうがいいように思う。
いま日韓関係を正常化することができれば、日本は韓国に対してかなり優位になる。ラグビーワールドカップでの初のベスト8進出、天皇陛下の即位、そして来夏の東京オリンピック・パラリンピック開催と、国際社会が日本を注目しているときだからである。
「反日種族主義」を使う文政権はやはり歪んでいる
心配なのが、韓国の「反日種族主義」だ。
これは「韓国人は反日思想を掲げなければ生きていけない種族だ」というもので、韓国で話題になっている同名の書籍が指摘していることだ。その内容は10月17日の記事「『反日の元凶』文在寅を見捨てはじめた韓国世論」で紹介した。筆者は韓国近代経済史専攻の元大学教授らで、10万部を超えるベストセラーとなっている。日本語版は文藝春秋社から「日韓危機の根源」とのサブタイトルが付いて11月14日に発売予定だ。
文在寅大統領はこの「反日種族主義」を使って政権維持を図ってきた。沙鴎一歩から見れば、かなり歪んだ政権である。そんな文政権が本気で対日友好に舵を切ろうとしているのか、それともうわべだけなのか、慎重に見極める必要がある。
しかも文氏は検察に対し、深い恨みを持ち、それを検察改革の原動力にしている。文氏は「歪んだ正義感」の持ち主だ。このあたりのことは9月17日の記事「文在寅氏の『歪んだ正義感』に振り回される日韓」に書いた。