ギリギリのこと、過剰なことをやればいい

【箕輪】そういう栗原さんは、どうして日テレを辞めないんですか?

【栗原】僕は箕輪君より会社に行ってるけど……(笑)。ちょうど箕輪君くらいの年齢のときの上司が、「ガースー」の愛称で知られる菅さん(菅賢治)でね。菅さんは「栗原はアーティストだから、もっと自由にさせろ。経費精算しろなんて言うな」とみんなに言ってくれてね。おかげで居づらくはなかった。

【箕輪】いいですね。理想の上司です。

【栗原】菅さんから言われたのは、「刑務所の塀の上を歩くようなギリギリのことをやってもいい。ただ、向こう側にだけ落ちるなよ」ということだけ。おかげで伸び伸びやらせてもらって、いまの「笑ってはいけない○○」の原型になる番組もつくれました。きっと幻冬舎の見城さんも菅さんと似たタイプだよね。

【箕輪】そうですね。ルーティンでやって企画を置きにいったときは「それ、意味あんのか」と怒られますが、過剰なことをして怒られたことは一度もないです。

撮影=小野田 陽一

「理解ある上司がいない」は言い訳。「準備」してないだけ!

【栗原】会社の後輩から「自分には理解してくれる上司がいない」と相談を受けると、まず「君がやりたいと思ってることをちゃんと言ってるのか」と聞くようにしています。日テレとフジは、キャリアの積ませ方が正反対です。フジは本人の思いを尊重して新人を第一志望の部署に配属させますが、日テレはあえて別の部署に配属させます。それでも「俺はドラマをやりたいんだ」と企画を10年出し続けた人には異動のチャンスを与えるんです。

栗原 甚『すごい準備』(アスコム)

実は僕は報道記者志望で、国会前で中継リポートしたくてテレビ局に入りました。結果的に僕はバラエティやドラマが合っていたからよかったけど、もし報道志望のままなら、やっぱり異動希望を言い続けていたと思う。心の中にいくら強い思いがあっても、それを伝えなきゃ届かないですから。

【箕輪】同感です。10年前なら、「まわりに理解者がいない」という言い訳も通用したと思います。でも、いまはSNSの時代。匿名でも何でも、本当に面白いことを発信していたら、誰かが見つけて引き上げてくれます。たとえば「¥マネーの虎」みたいな企画を思いついたとしたら、スマホで撮ってアップしてみればいい。それが尖ったものなら、誰かが面白がって「あいつはセンスがあるから機会を与えてみよう」となりますよ。

クリエイティブなことだけじゃなくても、チャンスなんて転がってます。大体、チャンスがないんじゃなくて「準備」してないだけ。もし会社の中に自分が好きな商品があって、売れないのを嘆いているなら、「無料でいいんで営業やらせてください」と言えばいい。それで売り上げが3倍とかになったら、勝手に噂になって引き抜きがきたりしますよ。

確かにクズみたいな会社も存在するから、辞めた方がいいケースがあることは事実です。でも、大体はそれ以前の問題。世の中に対して、自分の価値を表現し続けているのか。まずはそれを問うことが大事ですよね。

【栗原】そう、それが仕事でもプライベートでも大事なことで、人生の「準備」なんです。

(構成=村上 敬)
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