民間資金をいかに取り込めるかが鍵

一方で、ISTは衛星軌道投入ロケット「ZERO」の開発を発表している。JAXAを含む8つの企業・団体がサポートをする枠組みがつくられ、初号機の打ち上げは23年中の実施を目指しているという。同社のロケットについて、八亀氏は次のように述べる。

MOMO3号機の宇宙空間到達を喜ぶIST関係者。(毎日新聞社/AFLO=写真)

「ISTのロケットの特徴は、最先端の技術だけではなくアポロ計画の頃に確立された技術をベースにしている点です。さらに、部品もオーダーメイドで造られる高価なものだけではなく、ホームセンターなどで一般に販売されている安価な民生品も使用していると言われています。その中でMOMO3号機の宇宙空間到達は快挙です。その後のMOMO4号機は打ち上げに失敗していますが、スペースXも当初は失敗続きでした。そういう意味では失敗をしても、今後の期待は変わりません」

ただ、ISTもスペースワンも事業化までには時間がかかる。世界で小型ロケット事業を始めるベンチャー企業は急増しているが、日本の宇宙関係予算は増えておらず、政府による投資は不十分。民間資金(リスクマネー)をいかに取り込めるかが鍵となってくる。

これまで国際競争力が低かった日本のロケットだが、小型・大型ともに期待されるロケットがある。期待を実績につなげられるか、これから試されることになる。

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