「視聴率なんて取りたくない」という思いが積もり……

角田陽一郎『「中の人」から「外の人」へ 出世のススメ』(日本実業出版社)

この行動理念だと、今までやってきたことの中に、「やったほうがいいこと」と「やらなくていいこと」があり、数としては後者がたくさんあることに気づきます。例えば、僕が制作していたトークバラエティ番組「オトナの!」に、すばらしいゲストが出て、貴重な話をしてくれたのなら、それは地球のためになるかもしれない。その話を聞いて勇気をもらえる人がいたり、そこからインスピレーションを得て、新しい文化が創造されるきっかけになるかもしれないからです。

一方で、「視聴率を取ること」。これはTBSのためにはなりますが、日本のためにはなりませんし、地球のためには、まったくなりません。テレビマンでありながら、僕はいつしか「視聴率なんて取りたくない」となってしまい、そんな思いが積もり積もって退職届を出すに至りました。

出世とは「フレームから抜け出す」こと

21世紀になって約20年。世界は次のパラダイムに行くタイミングです。グローバリズム、中国の台頭、情報技術(IT)革命、MMT(現代貨幣理論)、ベーシックインカム、AI(人工知能)、……。今、世界中で新たなフレームがどんどん作られています。

そんな中、僕たちはどう生きるのか? 今まで異常だったことが普通になるし、逆に今までと同じことをしていると、成功はできない。僕は思うのです。「出世」を立身出世ではなく、「フレームから抜け出す」という本来の意味で、再定義することが現代人にとって必要ではないのか? あなたもフレームの外へ出て「中の人」から「外の人」になってみませんか?

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