「さんまのスーパーからくりTV」など数々の人気番組でプロデューサーを務めた角田陽一郎氏は、3年前、46歳のときにTBSを退社した。なぜ安定した地位を捨ててしまったのか。角田氏は「閉鎖的なマスコミの世界に耐えられなかった。僕は、枠組みから抜け出すことを“出世”と考える」という——。
※本稿は、角田陽一郎『「中の人」から「外の人」へ 出世のススメ』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
マスメディアは「井戸」だ
僕は長年、TBSテレビで「さんまのスーパーからくりTV」や「中居正広の金スマ」「EXILE魂」「オトナの!」といったバラエティ番組を作ってきました。なので、現在名乗っている「バラエティプロデューサー」という肩書を、バラエティ番組のプロデューサーだからだと思われるかもしれませんが、実は違います。バラエティの本来の意味である「いろいろやる」という意味でのプロデューサーです。そして、いろいろやるために2016年末、22年9カ月在籍した会社を退職しました。
改めて思います。テレビ、マスコミ、広告業界、芸能界は「井戸」だと。マス(大衆)メディアなわけですから、外からの情報とは常に交流しているのですが、すごく閉鎖的で、井戸の中の論理で物事が動いていきます。
例えば番組の会議。冒頭で出席者(プロデューサー、ディレクター、構成作家、AD=アシスタントディレクター)がチェックするのは、各局の視聴率が書いてある毎日の視聴率表です。それを一緒に見ながら喧々囂々、議論します。
「今、この局の○○って番組、人気あるなー」
「この××さん、よく出てるなー」
「なんかグルメもの、数字高いですね」
その分析は鋭く、傾聴に値します。ただ、「自分たちの番組で何やろう?」という議論になると、視聴率表の中から視聴率を取りそうなモノコトを探し始めるのです。