尖閣諸島にもその触手を伸ばす「膨張中国」

香港を「一国二制度」という分かりにくいシステムで政治的に縛り、経済的には巨額な利益を吸い上げようとする中国政府の魂胆は見え透いている。

香港の市民がいま、欲しているは真の自由と民主主義である。市民の意見が反映する政治であり、努力した者が報われる経済だ。いくら物質的に潤っても経済的に豊かになっても、市民に自由がなければ意味がない。中国の習政権には自由を求める香港市民の気持ちが分からないだろう。

世界第1位の14億の人口を抱え、経済力、軍事力はアメリカに次ぐとも言われる中国。シルクロードを模した「一帯一路」という国家戦略を立て、周辺の国々を巻き込んで突き進もうとしている。

その膨張はエスカレートするばかりだ。南シナ海の島々の周辺に人工島を次々と建設し、軍事基地化やガス田の開発をもくろみ、日本の固有の領土である尖閣諸島にもその触手を伸ばしている。

「世界最大のCO2排出国家」という点から待ったをかける

習政権にとって香港が目の上のたんこぶであると指摘したが、香港には自ら巨大なたんこぶとなって中国の野心をたたつぶしてもらいたい。そのためには欧米を中心とする国際社会が、大きな助け舟を出す必要がある。具体的には国連である。

石炭をエネルギーの中心に据えている中国は、世界最大のCO2排出国家だ。たとえば国連の気候変動枠組条約国会議などが環境面から中国をさらに縛っていく。地球温暖化対策ならば軍事力削減と違って中国に“待った”をかけやすい。

環境から入って経済、政治、そして軍事へと縛りをつなげていく。北京の空気が汚れ青い空が消え、中国に住む人たちも環境への意識や配慮に関心を持っている。いまがチャンスだと思う。

国際社会が頭を使うときが来ている。