「次の10年には何が起こるのか。そこで私が分析し始めたのが、欧米の流行でした。というのも、過去のブームは、日本固有のものではなく海外から流入したもの。特に日本は、欧米の流行に追随する傾向が強かったからです」
日本は欧米の流行に追随する傾向が強かった
齊藤氏が海外での流通の変化の兆候を感じ取るために注目するのがイギリスのロンドンだ。そこでは、H&Mをしのぐ低価格商品を提供するチェーンストア企業・プライマークが台頭し、オンラインからも既存のアパレルチェーンをおびやかす競合たちが拡大中という。これらの新勢力が、いずれ日本や中国などアジア市場を侵食する可能性も否定できない。
では、冒頭で指摘したテクノロジーの進化と、アパレル業界の次のブームはどのように関連するのか。
「オンラインショッピングが進化し利便性が高まる一方で、消費者を悩ませているのが手持ちの服との組み合わせ方です。店舗で店員に直接相談できない消費者に向けて、オンラインでのコーディネートの提案を充実させることが、販促につながります。売りっぱなしではなく、消費者に優しい取り組みを考えること。これが各企業の課題なのです。起死回生をはかれる要素はほかにもまだある。だからタイトルに『サバイバル』という言葉を入れたのです」
ディマンドワークス代表
ファッション流通コンサルタント。店頭在庫最適化をはじめ、グローバルチェーンに詳しい専門家として活躍。