根底に横たわる「三権分立」の機能不全

産経社説は書く。

「一方で曺氏の妻の起訴などを指揮したとされる尹錫悦検事総長を抜擢したのも文氏だ」
「尹氏は李明博、朴槿恵の元前大統領の事件を指揮したことで文氏に高く評価され、ソウル中央地検検事正から高検検事長を経ずに検事総長に引き上げられた。任命に際して文氏は『生きている権力に対しても厳正に対処しなくてはならない』と指示したとされる。皮肉なことに尹氏は現在、これを忠実に守っていることになる」

まさに文氏は「生きている権力」である。文氏はかわいがっていた尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏に手をまれた格好だ。産経社説が皮肉を書くのもよく分かる。

さらに産経社説を読んでみる。

「人事への介入で司法を政権の意のままに動かそうとするのは、保守、革新陣営にかかわらず、韓国政治の悪弊である。大統領の多くは退任後に捜査の対象となってきた。文氏の師、盧武鉉氏も悲劇的な最期を遂げた」

沙鴎一歩が前述した指摘と同じだ。その根底には三権分立の機能不全が横たわっている。

最後に産経社説は「法の支配はまた、民主主義や基本的人権などとともに普遍的価値を共有するための主要な要素である。文政権は、この原則から大きく逸脱している」と指摘する。この指摘には同感だ。