ポストは『月刊Hanada』の記事をパクっているだけ
たしかに、このタイトルと内容は、嫌韓ヘイトに近いものがある。だが、この根拠となっているデータは、15年に韓国の「大韓神経精神医学会」が発表したレポートだとあるから、ポストが捏造したものではない。
さらにいえば、『月刊Hanada』(4月号)に、ポストでもコメントを出している嫌韓ライター・室谷克実が「韓国成人の半分は憤怒調節障害」だと既に書いている。何のことはない、この記事のほとんど丸写しなのである。
売らんがために、本家より過激にいこうと、杉田議員の差別的な一文を掲載した『新潮45』と動機は同じだろう。ただし、ポストは本家の記事をそのままパクっているだけで、編集者としていうなら、ポストの編集力は最低である。
「小学館がこんなヘイト特集をやる雑誌を出すのはおかしい」という批判もあるようだ。しかし、小学館はつい最近まで『SAPIO』という雑誌を出し、「日本人よ、気をつけろ北朝鮮と韓国はグルだ!」などという、『月刊Hanada』や『月刊WiLL』と似た論調の記事をやっていたことを忘れてはいけない。小学館は岩波書店ではないのだ。
それなら講談社に対しても執筆拒否すべきだ
40万部を超えるベストセラーになったケント・ギルバート『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』(+α新書)を出した講談社も、「講談社ともあろうものがなぜ」と批判されている。
だが、かつて私も在籍していた講談社という出版社は、戦時中、陸軍や海軍と組んで膨大な戦争協力雑誌を出して大儲けした出版社である。
付け加えれば、「我が大君(おほきみ)に召されたる 命榮(は)えある朝ぼらけ」で始まる軍歌「出征兵士を送る歌」は、大日本雄辯會講談社(当時の社名)が陸軍省と提携していた九大雑誌で読者から公募したものである。
小学館に執筆拒否するという筆者たちは、戦時中の反省も十分にしていない講談社に対しても執筆拒否すべきだと、私は思うのだが。
今一つ、ポスト批判の中で気になることがある。9月5日付の朝日新聞が、ポストの問題で広告を載せた新聞の責任を問う声も上がっているとして、朝日の広報部が、「出版物の広告については、表現の自由を最大限尊重しながら審査・掲載しています」と答え、広告のあり方を今後考えていくとしている。