現代では、男性の5人に1人、女性の10人に1人は50歳時点で未婚ですから、たしかに非婚化が進んでいると言っていいでしょう。ちなみに50歳時未婚率で男女に大きな差があるのは、男性のほうが再婚する人が多いためです。厚生労働省の「第15回(2015年)出生動向基本調査」によると、「再婚男性と初婚女性」の組み合わせは、「再婚女性と初婚男性」の組み合わせの1.7倍にも上ります。
男性は、自分の相手には結婚歴がなく、自分よりも若い女性を好む傾向がある一方、女性は相手の結婚歴や年齢をそれほど気にしないといった理由がこの背景として考えられます。
男性の8割、女性の9割が「人柄」重視
未婚率の上昇と並んで話題になるのは、初めて結婚する年齢(初婚年齢)の上昇、つまりは「晩婚化」についてです。図表2は、厚生労働省が作成した「人口動態統計」より、平均初婚年齢の推移を示しています。1950年には、女性の平均初婚年齢が23.0歳で、男性は、25.9歳でした。そこから次第に上昇し、2009年には、女性28.6歳、男性30.4歳へと、男女とも4歳以上、大幅に晩婚化が進んだことがわかります。
なぜ非婚化・晩婚化が進んできたのでしょうか。この問いに答えるには、現代の日本社会において、人々は結婚に何を求めているのか、結婚にはどんなメリット・デメリットがあるのかを考えてみることが助けになります。
もちろん、ほとんどの人は、結婚することの最大の理由を愛情だと考えているでしょう。前出の「第15回出生動向基本調査」によると、結婚相手の条件として重視するものに、男性の8割、女性の9割が「人柄」を挙げています。
6割の女性が夫に家事・育児能力を求めている
一方で、愛情だけでは結婚できない、あるいは結婚生活が長続きしないと考えている人も少なくないでしょう。結婚相手には「家事・育児の能力」を重視すると答えた男性は5割近くいる一方、相手の「経済力」を重視すると答えた女性は4割近くに上ります。
興味深いことに、結婚相手の「家事・育児の能力」を重視すると答えた女性は6割近くに上り、男性にも家事・育児の能力が求められていることがわかります。さらに、自分の仕事を理解してくれることを重視すると答えた女性は5割近くで、結婚後も働き続けることを希望する女性が多いことを示すような結果になっています。