では、見ただけではすぐにわからないこと、たとえば「年収」はどうでしょうか。マッチングサイト「OKキューピッド」の運営ブログ(2010年7月6日)によると、年収10万ドル(約1000万円)を自称する人の数は、実際の人数の4倍にも上るそうです。

外見に関する嘘は、会えばわかります。年収に関する嘘も、身につけているものや行きつけのレストランなどから大体のところは見抜けるかもしれません。そもそも、相手が多少サバを読んでいることを理解してマッチングサイトを使っているのであれば、利用者は必ずしも嘘に振りまわされているというわけではないのでしょう。

「美人とイケメン」の経済学

好ましいことであるかは別として、恋愛のパートナー選びにおいては「容姿」も大きな要因となります。データ分析では、容姿も数値化しています。ある研究では、100人の学生に写真を一つ一つ見せ、最低1点、最高10点で採点してもらい、その平均点を利用者の容姿の点数として分析に利用します。

なかなか残酷なやり方に見えますが、写真以外の利用者情報は明かされません。容姿を採点する学生は、利用者とは別の町に住んでいるので、利用者のプライバシー保護については配慮されています。

ちょっと話は脱線しますが、容姿の良し悪しが実社会でどのようなインパクトを持つのかという研究は、経済学分野ではしばしば行われています。ここで述べたものと同様の方法で容姿を点数化し、美男美女ほど収入が高くなる傾向を明らかにした研究がその始まりです。

この話をさらに推し進めて、美容整形によって美男美女になれば、高収入を得られるか検証した分析まであります。それによると、美容整形をして高収入を得るというのはどうやらかなり難しいようです。高収入を得られるほどの美男美女というのはほんの一握りなのですが、美容整形によってその域まで達するのは難しいというのが理由だそうです。

すべてがデータ化されるマッチングサイト

マッチングサイトでは、利用者のサイト上での行動がすべてデータ化されています。具体的には、誰が誰のプロフィールを見たのか、プロフィールを見たあとに「いいね!」やメッセージを送ったのか、メッセージを送った場合には、実際にデートに至ったと思われるかどうかなどを知ることができます。

どんなプロフィールを見た上で、誰に「いいね!」やメッセージを送ったのかがわかれば、そのデータを分析することで、この利用者はどういう人が好みで、自分の将来のパートナーに何を望んでいるのかを知ることができるというわけです。