葬儀社決定のハードルをいかに乗り越えるかが運命の分かれ道

葬儀社さえ決まれば、葬儀にまつわるこまごまとした手続きはサポートしてもらえる。葬儀社決定のハードルをいかに乗り越えるかが運命の分かれ道となりそうだ。

最後に心配な葬儀費用だが、故人の口座は金融機関が死亡を確認した時点で凍結されてしまうため、あらかじめ費用を準備をしておくのが賢明だ。

▼葬儀・法要の準備ポイント
(1)あらかじめ葬儀社から見積もりを取っておく
亡くなったあとに葬儀社を選ぶ場合、比較検討する時間的余裕はほぼない。納得のいく葬儀社を選ぶには事前見積もりが必須。親の地元(自分の葬儀であれば、自分の居住エリア)にある葬儀社を2社ほど選び、見積もりを依頼する。電話やインターネットではなく、面談で葬儀社の経験や担当者の雰囲気、葬儀への価値観を確認しておこう。見積書の作成は葬儀の全体像や費用の把握にも役立つ。
(2)親に菩提寺、宗派を確認しておく
葬儀社から最初に聞かれるのが「菩提寺の有無」。菩提寺がある場合はすぐ連絡し、お寺側のスケジュールを確認したうえで、葬儀の日取りを決める。「菩提寺の名前や連絡先がわからない」「宗派もわからない」となると、途端に身動きがとれなくなる。葬儀の日程が決まらないと、訃報通知にも支障をきたすことに。親が元気なうちに、菩提寺(キリスト教や神道の場合は付き合いのある教会、神社など)の連絡先の確認を。
(3)訃報の通知先を生前に確認しておく
「なぜ教えてくれなかったのか」と、のちのちの人間関係にしこりを残すリスクをはらんでいるのが訃報の通知範囲。一般葬では、年賀状をやりとりしている範囲といわれる。家族葬の場合、「どこまでを家族に含めるのか」で悩む事例があとを絶たない。いくら親が「家族だけでこぢんまり」と言っても、うのみにするのは禁物。葬儀に誰を呼びたいのか、連絡先一覧をあらかじめ残しておいてもらうよう、親にアプローチしておきたい。
(4)死亡広告を掲載したときに起こることを想定
葬儀の日程や葬儀を終えた告知を新聞の社会面に掲載する「死亡広告」。葬儀社に代行手続きを依頼すれば、掲載可能(有料)だ。大勢に訃報告知をしたい場合に重宝される。地域によっては電話などではなく、地元紙に死亡広告を掲載するのが慣習になっていることも。ただし、死亡広告は掲載した時点で故人の預貯金口座が凍結される点に留意したい。金融機関は日々、死亡広告に目を光らせているのである。
(5)「お別れの会」の開催は慎重に
葬儀は近親者のみの「家族葬」で行い、葬儀後に「お別れの会」を開催するケースも増えている。会費の相場は1万~2万円と香典よりも割高。仮に遺族が費用を全額負担し、会費を徴収しないとしても、拘束時間が長引くため、必ずしも喜ばれない。むしろ、従来の通夜・葬儀のほうが負担を最小限にできる可能性も。友人が有志でお金を出し合い開催するような場合はさておき、遺族主催の場合は慎重に検討したい。
明石久美
行政書士
明石シニアコンサルティング代表。相続や終活のコンサルタントとして活躍。全国の企業や団体に向け年間120件以上のセミナーを行っている。