頭をスッキリさせるためにジョギングをと考える人がいるかもしれませんが、就寝2~3時間前に交感神経を活発にすると、気持ちが高ぶって眠れなくなります。就寝前の軽いストレッチは有効ですが、普段やっていないなら、頑張りすぎて首の筋や肩を痛めてしまうきっかけにもなりかねません。ですから基本的に「普段やっていないことはやらない」というのが鉄則なのです。
寝室では、就寝とセックス以外はNG
ついやってしまいがちなのが、寝室にプレゼン資料を持ち込んだり、PDFで予行練習する行為で、これも目が冴える要因になります。スマホはブルーライト自体が目に悪いですが、それよりコンテンツに集中してしまうのがよくない。ネットは関連情報をつい深追いしてしまうので、調べ始めたらキリがありません。リンクを追い続けているうちに、脳が覚醒していきます。
基本的に寝室では寝る行為とセックス以外はやっちゃダメです。もし資料を読みたいならリビングで読み、眠くなれば資料を置いて寝室に移動するぐらいの切り替えが必要です。スマホは、横になりながら見てしまわないよう枕元や手元には置かず、少し離れた場所に置くよう心がけたほうがいいでしょう。
では大事なプレゼン前日に「どうすれば緊張せずに眠れるか」です。私はその問いには「2日前の睡眠を削ってください」とアドバイスします。つまり意図的に睡眠不足を起こすわけです。前々日の“睡眠負債”があれば、前日はスッと眠りに落ちることができます。
また、就寝を一日のゴールではなく、一日のスタートと意識すれば「翌日のパフォーマンスを最高にするために寝よう」と前向きに考えられます。睡眠を“今日頑張ったご褒美”ではなく“明日への投資”とイメージするわけです。
通勤電車でのうたた寝が至福のときだというビジネスマンは多いですよね。ただ、中途半端な睡眠の先取りはやめましょう。睡眠は足し算ではなく、集合体で考えます。昼1時間、夕方1時間、夜6時間で合計8時間寝るのと、夜に8時間まとめて寝るのとでは、後者のほうが明らかに質が高い。実は、質のよい睡眠が取れるのは、その日最初に来る眠気からなので、よい眠りを電車内などで先取りしてしまうと、夜の睡眠が浅くなってしまうのです。前菜でお腹が膨らむとメインが美味しくなくなるフランス料理と似ています。昼寝は20分が限度だと考えてください。
「何時間寝れば十分なのか」は、人によって異なります。プレゼンに向けてパフォーマンスを発揮するのを目的とするなら、基本は普段より短い睡眠時間にならないようにすべきです。逆に、過度に長時間の睡眠もよくありません。例えば普段6時間寝ているのに、その日だけ9時間寝るというのは寝過ぎです。普段より大きく減らさない、増やさないというのを目安に考えてください。