いじめを受けやすいのは勉強のできる子かできない子か

いじめの頻度やどんないじめが多いか、という見方を転じて、いじめを受けやすいのがどんな生徒かについての集計結果を見ると、日本は、他の国より「社会分断的でない」という特徴も見て取れる。

まず、いじめられるのが「勉強のできる子なのかできない子なのか」を見てみよう。このため、図表3には、PISA調査の本体部分である学力テストの結果と付帯部分のいじめ調査の結果との関係を主要国について示した。

図には、科学的リテラシー(いわゆる理科)のテスト結果の得点を低いほうから高いほうへ人数別に10区分した各区分の生徒について、過去1カ月の間にいじめを受けた割合を示した。

各国の結果を全体的に見ると、右下がりの傾向が認められる。すなわち「からかい」「こづきまわし」「悪いうわさ」といったいじめの種類によらず、概して、成績の悪い生徒ほどいじめを受ける割合が高いことがわかる。

成績の悪い生徒より成績の良い生徒がいじめられやすい

日本の結果を見ると、「悪いうわさ」については、成績の悪い生徒ほど比較的いじめを受けやすい傾向がある。しかし、他の国ほど成績と比例していない点も目立っている。

一方、「からかい」については、フランスなど欧米の先進国や中国では成績の悪い生徒ほどいじめがひどいのに対して、日本は、むしろ、逆に、成績の良い生徒ほど多くのいじめに遭っているという対照的な状況が明らかである。この点について、韓国は、いじめの発生率は日本よりずっと低いが、成績の良い生徒ほどいじめに遭うという点では日本と似ている。

「こづきまわし」については、日本の場合、成績の最も悪い第1区分から第8区分までは他の国と同じように成績の悪い生徒ほどいじめられているが、第9区分より上では成績の良い生徒のほうがいじめられている。成績の最も良い第10区分では第1区分よりもいじめがひどいほどである。「こづきまわし」は「からかい」と「悪いうわさ」をミックスしたような結果になっているといえる。

どの国でも、いじめの中で最も多いのは、実は、「からかい」であり、日本では特に多くなっている。「こづきまわし」は、一般的にはそう多いいじめではないが、日本の場合はいじめの種類としては2番目に多くなっている。この2つのいじめの結果から、日本のいじめの特徴は、他の先進国とは逆に成績の悪い生徒より良い生徒がいじめられやすい点にあると結論づけられよう。