長期的には「マンション価格は頭打ち」といえる理由

やや長めの目線で考えると、首都圏のマンション価格は頭打ちの展開を迎え、徐々に価格が調整する可能性がある。まず、わが国の景気動向が重要だ。近年の日本経済は、国内独自の要因によって自律的に回復してきたとは言えない。わが国の景気回復のかなりの部分が海外の要因に依存している。

足元、米中の摩擦や中国経済の減速など、世界経済の不確実性は高まっている。ここから先、世界全体で景気の勢いが一段と強くなることは考えづらい。米国や中国などの経済成長率が鈍化傾向をたどるようだと、わが国でも所得環境の悪化懸念などが高まるだろう。それは、マンションの販売減少につながる要因だ。

加えて、わが国では少子化と高齢化、人口の減少が3つ同時に進んでいる。これは住宅需要の低下要因だ。総務省が公表した「平成30年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)を見ると、1998年に9.5%だった住宅の増加率は、2018年3.0%まで低下した。長期的に考えると、これまで人口が集中してきた首都圏でも人口の増加ペースが鈍化し、マンション需要は一段と緩む可能性がある。

真壁 昭夫(まかべ・あきお)
法政大学大学院 教授
1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。
(写真=時事通信フォト)
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