英語から始まる「民間認定試験」の利用

具体的な試験内容としては、設問方式の変化に加え、民間の認定試験の採用も注目されている。

たとえば大学入試センターは2018年3月、大学入学共通テストとして利用可能な英語の民間試験として、「ケンブリッジ英語検定」「TOEFL iBT」「TOEIC(L&R)(S&W)」「GTEC」「TEAP」「TEAP CBT」「英検」「IELTS」を認定した。

今まで英語の中高生向け民間検定といえば「英検」が通り相場だった。英検は中高生だけでも260万人(2016年度)が受けるというマンモス検定だ。2019年現在、全国230都市で約400の本会場のほか、学校単位などの準会場が約1万7000も設けられるとされる。

これまでの英検は、2級以上になると一次試験と二次試験があり、それが別日程で実施されていた。認定試験の採否ではネックとなり、一度は認定されなかった。そこで従来の受検方式に加え、大学入試を前提にした新型を準備。その2つを英検として併存させることになった。

7月に入ってTOEICが突然の撤退を表明

しかし民間認定試験の導入については、国立大学の間でも評価が分かれており、受け入れを表明した国立大学協会の方針を批判する声も強い。私見としても、文部科学省主導の認定試験の導入は性急の感があり、受験生や高校だけでなく、入試を実施する大学側も混乱している印象を受ける。

しかもこの7月に入ってTOEIC(Listening & Reading TestおよびTOEIC Speaking & Writing Tests)が大学入試への参加を取り下げることを発表。教育関係者に激震が走った。

TOEICを実施・運営する国際ビジネスコミュニケーション協会のホームページでの発表によると、「受験申込から、実施運営、結果提供に至る処理が当初想定していたものよりかなり複雑なものになることが判明」したためだという。

入試改革スタートを目前とした、大手検定業者の突然の撤退。この発表一つとっても、ますます現場に混乱が起こるのが手に取るように見える。