限定商品に惹かれるメカニズム

マクドナルドの秋季限定バーガー、シチズンの100周年記念モデル1500本限定の腕時計、北海道でしか買えない「白い恋人」、季節限定のビール、九州限定の明太子フレーバー「柿の種」、ダイソンのジャパネット限定モデル――。

これらの商品は、なぜか興味をそそられますし、何かと話題になったりしますよね。販売する期間、数量、地域、チャネルなどを企業が限定して販売する商品のことを限定商品と呼びます。

限定商品は、売り手が意図的に商品を自由に入手しにくい状態で販売することによって、話題性や希少性を狙ったものです。消費者研究では、同一の商品でも、制限を課すことによってその評価が高まり、売上が上がることがさまざまな実験で確認されています。

ここでは二つの心理的メカニズムが作用しています。一つは、人が所有していない、あるいは人とかぶらないものを評価するという「スノッブ効果」が働いています。市場における希少性が、その価値を上げているのです。

もう一つは、商品が入手困難なことから、リアクタンス効果が生じることが挙げられます。これは「失われた自由を回復しようとする、または失われそうな自由を確保しようとする動機」です。季節限定ビールの例でいうと、「ビールを買う」という行為は、本来自由なはずです。日本にいればどの地域に住んでいようが、いつであろうが、自由に購入することができますよね。ところが、季節限定ビールの場合は、商品がなくなればもう買うことはできません。自由に買うことができない、つまり“失われそうな自由”というわけです。ビールを買うという自由を確保したいという気持ちが、限定ビールを購入する動機になるのです。

ただしこれらの学術研究は単発の実験結果なので、頻繁に企画された場合の長期的効果は検証されていません。限定商品もやりすぎれば、「またか」と飽きられたり、スノッブ効果が低減したりすることは、経験的にいえるのではないでしょうか。

さまざまな心理効果を利用した広告のテクニック

そのほか、さまざまな広告テクニックをご紹介しましょう。