放送法が制定された1950年とは環境が大きく違う

日経新聞の社説(12月7日付)の見出しは「受信料合憲でも課題山積だ」である。日経社説は後半でこう指摘する。

「インターネットやスマートフォンの普及により、情報を伝える手段は多様になっている。災害時にツイッターやフェイスブックといった交流サイトを通じて情報を得る機会も増えてきた」
「娯楽の多様化を背景に、視聴者のテレビ離れも進んでいる。とくに若年層でこうした傾向が強い。今回の判決によって一時的に受信料の未払いが減ったとしても、テレビを視聴する習慣が薄れてしまえば公共放送の足元はぐらつきかねない」

日経社説の指摘の通りである。放送法が制定された1950年とは放送環境が大きく違う。その違いを十分に理解したうえで公共放送の在り方を考えていく必要がある。

最後に日経社説は本質論に迫りながらこう主張する。

「多くの課題がある中でまず必要なのは、現在の技術や社会環境を前提に、公共放送の役割を定義し直すことだ。そのうえで適正な業務の範囲を定め、公平な費用負担のあり方を探る必要がある」

どうすれば未払い世帯から徴収できるのか

受信料を公平に求めるにはどうすべきか。最高裁の合憲判決が出た時点で、受信料未契約の世帯は約900万もあった。受信料を支払っている視聴者からすれば、“ずるい人”たちである。

沙鴎一歩は2017年12月15日付のプレジデントオンラインで「NHKは900万の未払世帯にどう請求するのか」という主見出しを掲げた記事でこう論じた。

「今回、最高裁大法廷は『テレビ設置時にさかのぼって受信料の支払い義務が生じる』との判断を示した。だが過去にまでさかのぼって徴収しようとすると、反発は増す。現実的にはNHKが督促した時点からの支払額を求めることになるだろう。そして督促に応じない視聴者には支払額を割増しで請求する。自主申告の国税の徴収では脱税や申告漏れがあると、ペナルティとして重加算税や過少申告加算税などが科せられるが、これと同じだ」
「しかし大切なのは視聴者が進んで支払うようになることだ。そうなるためには、NHKが受信料の必要性について丁寧に説明し、公共放送として国民に信頼されることに尽きる。事業拡大に突き進むだけでは、理解は得られないだろう」

やはり、視聴者への丁寧な説明と、その結果生まれる視聴者からの信頼が大切なのである。

(写真=時事通信フォト)
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