「恣意的な解散」批判が広がる恐れもある
こう1つ、注目しておきたいのが世論の動向だ。自民党内で同日選論が高まっている理由の1つに「世論の理解」がある。確かに共同通信社が18、19日に行った世論調査によると、同日選を「行った方がよい」が47.8%で、「行わない方がよい」の37.2%を上回った。しかし、この傾向は実際に衆院解散された後も維持される保証はない。
今、大手新聞、テレビ各社は「首相の解散権」についての報道の準備を着々と進めている。報道内容は濃淡があるだろうが、さほど重大な争点があるわけでもないのに党利党略で衆院解散を繰り返す安倍晋三首相の姿勢を「恣意的な政治判断」として批判する内容になるだろう。そういう報道が続けば安倍自民党に世論は背を向けるようになるのではないか。
それでも、もはや流れは止められないか
同日選になれば投票率が高くなる。自公の選挙協力が難しくなる。野党の結束を促進することになりかねない。世論の批判も想定しなければならない。
冷静に考えれば同日選は、自民党にとってマイナス要因ばかりだ。それにもかかわらず昭和時代の2度の成功体験を信じて衆院解散に走る姿は滑稽にすらみえる。
実際、そのことに気づき、同日選にブレーキをかけようというベテラン議員も少なくない。公明党との関係を重視する二階氏も、その中の1人だ。ただし永田町全体が解散風に流され、同日選に向けて走り始めているのも事実。二階氏らの力を持ってしても、押し戻すのは難しい雲行きなのだ。