投票率が上がると自公には不利となる
昭和の頃、自民党は国民政党を標榜していた。「支持政党なし」層は自民党に投票する人が多い時代だった。同日選にすると投票率が高くなり、この層多くが自民党に流れ、勝利につながった。
今はどうか。自民党は地方に根をはやした組織や業界団体を束ねているが、組織政党の色彩が強くなっている。連立のパートナー・公明党にいたっては、創価学会が全面支援する完全なる組織政党。今の両党の体質は、投票率が下がった方がいい。同日選になって投票率が上がる場合、むしろ自民、公明両党には不利になるのだ。もはや「昭和の法則」は通用しない。
選挙制度変更で、衆院、参院とも2枚ずつ投票に
あまり注目されていないが、過去2回の同日選と今は、選挙制度が違う。80年の同日選の時は、参院選は選挙区と全国区で2枚の投票用紙に2人の個人名を書く選挙。86年の時は全国区に代わりに比例区が導入されており、2枚の投票用紙に個人名と政党名を書いた。
衆院選は80年、86年の2回とも中選挙区制度で、投票用紙1枚に個人名を書いていた。
つまり80年の時、有権者は投票所で衆院は1枚、参院は2枚の計3枚投票していた。
その後、衆院では96年の選挙から小選挙区比例代表並立制が導入された。この結果、有権者は2枚の投票用紙に個人名と政党名をそれぞれ書く制度になった。参院は選挙区と比例区で行われるのは変化ないが、2001年から比例区は、「非拘束式」という仕組みに変わり、有権者は個人名を書いても政党名を書いても有効になった。
今の制度で同日選になったらどうなるか。有権者は衆院、参院とも2枚ずつ投票することになる。参院選では1枚には選挙区に立候補した候補1人の名前を書き、もう1枚の投票用紙には比例区に立候補した候補の名前か政党名を書く。衆院選では1枚に小選挙区候補の名を書き、もう1枚には政党名を書く。極めて複雑で、混乱は避けられない。
衆参ともに比例区があることは知っている人が多いだろうが、衆院は政党名しか書くことが許されず、参院では個人名でも政党名でもいい、ということまで理解している日本国民がどれだけいるだろうか。