保健所には「臨時の診療所開設」を届ける
MMRワクチンで出張接種を行った際には、未承認薬であるため、MMRワクチンの有効性と安全性を説明はしたものの、巡回診療の対象と見なしてもらえず臨時の診療所開設を行うことになった。臨時の診療所開設では、クリニックの院長である私は臨時診療所の管理医師にはなれないので、別の常勤医が管理医師として対応したが、手続きを進める際の保健所とのやりとりには時間をとられた。その手間はかかったが、MMRワクチンでの集団接種も可能ということだ。
地域によって保健所の反応が異なるであろうことは否めないが、所定の手続きをとれば、制度的に問題はない。当院の事例がすでに前例と考えていただければよいだろう。
「集団接種」は会社の会議室で十分可能
私のクリニックでは、以前から出張による集団予防接種を行っている。インフルエンザワクチンはもちろん、MRワクチンの集団接種をしている。ここで昨年の当院の事例を紹介したい。
2018年10~12月、当院では10社のべ13回の集団接種を訪問先の企業で行った。そのうち5社のべ6回はMRワクチンの集団接種で、計475人が受診した。
10月19日/L社/MRワクチン/79人/医師2人、看護師2人
10月24日/Sa社/MRワクチン(インフルエンザとの同時接種)/61人/医師1人、看護師2人
10月26日/Se社/MRワクチン43人(インフルエンザとの同時接種)/医師1人、看護師1人
10月30日/K社/MRワクチン/48人/医師1人、看護師1人
12月7日/T社/MRワクチン/37人/医師1人、看護師1人
12月14日/L社/MRワクチン/207人/医師2人
2社はインフルエンザとの同時接種であり、人数が多かったL社は2回に分けて行った。
これらは会社の会議室やミーティングルームなどが会場として使われており、平日の昼間の時間帯に実施した。当院からは医師、看護師を1~2名ずつ適宜派遣し、時には事務スタッフも随行した。直前の準備や片付けの時間も必要になるが、接種数にもよるが実質的な接種時間はだいたい1~3時間程度だった。