まるで公務を怠けているかのような情報操作
2004年5月10日、皇太子が欧州歴訪前の会見で、「それまでの雅子のキャリアや、そのことに基づいた雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です」と明言したのは、プロポーズの時、「あなたを全力で守る」といった言葉が真であったことを示す、皇太子の覚悟の現れであったのだろう。
事の重大さに驚いた宮内庁は、雅子妃に説明に上がりたいと申し出たが、雅子妃は「それなら私は皇太子妃を辞めます」と答えたと、当時の週刊誌に報じられている。
皇太子の深い愛に包まれていたものの、雅子妃の体調は次第に悪化していった。
帯状疱疹、適応障害などで公務もままならない日々が続いた。メディア、特に週刊誌は、公務に行かないのに、家族とは会って食事をたびたびしていると、心無い報道を続けた。
愛子さんの学校に付き添い、合宿にも一緒に行き、雅子妃だけがホテルをとって高額な部屋に泊まったことまで報じ、まるで公務を怠けているかのような印象を国民に流し続けたのである。
「女性天皇を認めること」に賛成は79.6%、反対は13.3%
だが、長い時間がかかったが、皇太子と並んで、公務や被災地を訪れる雅子妃の姿が見られるようになってきた。
皇后陛下になられた雅子妃を見ていると、そんな苦労の日々はなかったかのような晴れやかな表情をしている。これだけの苦労をしてきた雅子皇后だからこそできることがあると思う。これからも無理をせず、公務に家族団欒にと有意義な時間を過ごしてほしいと思う。
共同通信社の世論調査(5月1~2日実施)によると、新天皇陛下に「親しみを感じる」と回答した人は82.5%もいるという。それに皇室典範で「男系男子」に限るとしている皇位継承についても、女性天皇を認めることに賛成は79.6%、反対は13.3%しかなかった。
新しい天皇即位によって、皇位継承権のある男系男子は3人だけになってしまった。再び、雅子妃のようなことがあってはならない。そのためには、愛子さんが天皇に即位できるよう皇室典範を改正すべきであろう。
女系天皇にまで踏み込まずとも、歴史上、女性天皇はこれまで何人もいる。政権が、皇室の繁栄を本心から願うなら、すぐに手をつけるべきだと、私は思う。(文中敬称略)
※5月6日17時50分追記:文中の表記を一部改めました。
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)、『編集者の教室』(徳間書店)、『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)、『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)などがある。