なぜ「小室母子は嫌い」という空気が醸成されたか
秋篠宮眞子さんと小室圭さんの結婚問題について論じることは、メディアのあり方を考えることである。
週刊女性が一昨年の暮れに、小室さんの母親・佳代さんの元婚約者だという男との間に「金銭トラブル」があると報じ、年が明けて、週刊文春と週刊新潮が後追いして、騒動が拡大されていった。
週刊誌に続いて、ワイドショーなどが連日のようにこの話題を取り上げ、コメンテーターたちの無責任な発言を垂れ流した。そうした見方がネットで拡散され、リテラシーのない人間たちの間に「小室母子は嫌い」という空気が醸成されていった。
それを見て驚いたのであろう、突然、宮内庁は2人の婚約延期を発表するのである。
こうした小室母子バッシングともいえる一連の報道を見ていて、私は違和感をおぼえて仕方がなかった。
どのメディアも元婚約者の証言のおかしさを追及しない
元婚約者という男は、いまだに名前も顔も出さず、取材に来る連中に一方的ないい分を申し立て、週刊誌やワイドショーは裏も取らずに、そのまま流してしまう。
その話をもとに、「小室圭は眞子さんの婿にはふさわしくない」という風評をメディアが作り出していったのである。
他人の不幸は蜜の味。宮内庁や秋篠宮家の「関係者」という、どこの誰かもわからない証言者を動員して、「美智子皇后は最初から小室圭を嫌っていた」「秋篠宮紀子さんは圭と別れさせたがっている」と見てきたような揣摩臆測記事を洪水のように流し続けたのである。
不思議なのは、どのメディアも、元婚約者の証言のおかしさを追及しなかったことである。
週刊誌へのタレコミは男らしいやり方ではない
この男と佳代は結婚を前提に付き合っていたのだ。夫に早く死なれ、女手ひとつで苦労しているのを見て、当時はカネに困っていなかった男が彼女や息子のために援助したのである。当然、借用書などもらってはいない。
しばらくして、2人は別れてしまう。その後、男は仕事を失い生活に困ってきたため、女にカネを返せと手紙を送るが、あれは譲渡されたものだと理解しているという佳代からの返事があったという。
ある日、彼女の息子が秋篠宮眞子さんと婚約をしたという報道が流れ、2人がにこやかな表情で会見を開いた。それを見た男は、母親との金銭問題を週刊誌にタレ込むようになる。
どう見ても男らしいやり方ではない。だが、週刊誌は眞子さんの婚約者の母親に金銭トラブルがあるという話に飛びついた。