「銀行が勧める商品に間違いはない」は間違い
事例その3:「外貨建て保険」
超低金利時代の救世主!?
保険商品の中には、退職金などまとまったお金を一時払いにして、満期になれば、「元本+α」が戻ってくる貯蓄性商品が以前からあり、いつの時代にも根強い人気とニーズを維持してきた。
このようなしくみが銀行の顧客のスタイルに合っているだけでなく、販売手数料も高いため、最近では、保険会社だけでなく銀行でも積極的に販売している。
とはいえ、今や、マイナス金利によって円建て保険の貯蓄性は皆無。そこで最近、人気を集めているのが外貨建て保険である。
米ドルあるいは豪ドル建ての終身保険や年金保険がベースで、為替リスクはあるものの、積立利率が一定水準(1.5%、3%など)最低保障されている。円建てに比べて高い返戻率と割安な保険料が最大のメリットである。
保険料の支払いは、月払いタイプと一時払いタイプがあるが、退職金などまとまった資金を持つシニアには、運用次第で老後資金を大きく増やせる可能性のある後者が人気だ。
しかし、外貨建てで高金利とはいえ、ベースが保険商品ということは、コストも二重にかかる。外貨建て商品で運用したいのであれば、外貨建てMMFや外国債券に投資するほうがコストは割安だ。
また、銀行という販売チャネルに惑わされるケースも少なくない。
銀行で「金利が高くて、相続対策にもなる」と外貨建て保険を勧められたBさん(65歳)は、銀行なのだから元本保証のある国債のつもりで1000万円の契約をした。後日、郵送されてきた通知で外貨建て保険と知ったが、いまさら保険には加入するつもりがないBさんは、解約を申し出るつもりだという。商品理解が不十分だと、こういう結果を招くことも多々ある。
後編では、退職金の運用に失敗してしまう理由と対処法について紹介しよう。