単語を訳さない、エピソード記憶

英単語の音読と同時に、単語のイメージ化にも取り組みましょう。リスニング問題はナチュラルスピードで読み上げられるので、単語の意味をいちいち日本語に訳す暇がありません。代わりに、実際の人・物・事や動作・状況をイメージするようにトレーニングします。「man」という音を聴いたら、「男性」と訳すのではなく、「男の人」を思い浮かべるといった具合です。手続き記憶を情景と結びつけて覚える「エピソード記憶」に転換し、記憶のデータを脳から瞬時に取り出せるようにするわけです。そのトレーニングに、単語のイメージが図解された『中学英単語でいきなり英会話』などを活用するのもお勧めです。

英単語の次は、英文法を復習しましょう。英文法の基本を確認することで、より英文をイメージで理解できるようになります。TOEIC(特にリスニング)で使われる英文も、文法は中学校で学んだ内容が基本です。ここでも英文を音読しながら、復習することが大事です。テキストには、中学文法がまとめられた『中学3年分の英語が3週間で身につく音読』などを活用するといいでしょう。

単語や文法の基本を確認したら、会話で使われる様々な表現に慣れます。その方法は、「聴く」→「テキストで確認」→「音読」→「再び聴く」。テキストには会話表現がまとめられた『キクタン英会話』などがいいでしょう。

「忙しくて自宅で学習できない」という人向けに、通勤時間でも効果的な学習ができる「English Trainer」(検索「ビズコムET」)というスマートフォン用のアプリを開発しました。無料コンテンツで、トレーニングを体験できます。リスニングに加えて、スマホ画面で英文を確認しながら、イヤホンでその音声を聴いたり、英語と日本語の意味を対照したりできます。上達に欠かせない音読練習には、専用の英文を用意しています。

鹿野晴夫(かの・はるお)
1964年、北海道生まれ。東京都立大学工学部卒業。TOEIC335点から自己学習で990点を達成した経験を活かし、多くの企業で講演を行う。現在、ビズコム代表取締役。『TOEICテストで「高得点を取れる人」と「取れない人」の習慣』(共著)など著書は60冊以上。