TOEICの点数を効率的に上げるには、レベル別に学習法を変える必要がある。今回、5つのレベル別に「勉強法ロードマップ」を識者に聞いた。第1回は「300点台」の学び方について――。

※本稿は、「プレジデント」(2019年4月15日号)の掲載記事を再編集したものです。

TOEICの入門編テストで、まずは肩ならし

「TOEIC初心者」の人にはまず、「300~350点を取れれば上出来」くらいの気持ちで受験してほしいと、私はアドバイスしています。初回の目標が300~350点といっても、恥ずかしがることはありません。会社内で実施されるTOEICの受験者のうち、4人に1人は340点以下です。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/takasuu)

TOEICの受験前に重要なのは、問題形式に慣れておくことです。問題形式に不慣れであれば、実力より低くスコアが出ますから、本番同様に2時間200問の練習問題を解いておくことがベストです。とは言っても、300~350点を目指す人が、990点が最高点の問題集を解いてもわからない問題が多すぎて大変です。

そこでお勧めは、『TOEIC Bridge』で、初級・中級者向けのテストです。1時間で100問を解けばよく、TOEICのやさしい問題が集められたテストという感じです。練習問題が掲載された「公式ワークブック」が発売されていて、実践テストを解くことで参考スコア(現在の実力)もわかります。

テストに向けた実力アップは、中学単語の復習から始めましょう。高校や大学の入試を経験した人なら、忘れていても脳のどこかに知識がストックされています。それを思い出す「記憶のリハビリ」をすればいいのです。具体的には、高校入試用に頻出単語がまとめられた本で『高校入試ズバピタ英単語』などがお勧め。知っている単語が多いはずですから、1週間もあればすべて確認できるでしょう。

注意すべきは英単語を「音読」すること。TOEICは問題の半分100問がリスニングです。苦手なリスニングを避けて、リーディングで勝負する人もいますが、語彙はリスニングのほうがやさしいので、こちらが重点です。リスニングができないのは、単語を文字だけで覚えて音と結びついていないからです。そこで目に入った英単語を音読し、自分の耳で聴くことで、脳に英語の音声辞典を作ります。音読によって英単語の「意味記憶」を、英単語の発音と結びつけて覚えた「手続き記憶」に転換します。