収入減は避けられず、もちろんボーナスも出ない
初診日に加入していた年金によって年金額が異なる場合がありますから、初診日を知っておくことも大事です。最初は最寄りのクリニックで診てもらい、その後、改めて大学病院に行った、などのケースもありますから、いつ、どんな症状で、どの医療機関にかかったか、といったことはメモを残しておくのが得策です。
私は「お薬手帳」にそれらをメモしています。具合が悪くなった際に見返すと受診する必要があるかどうかを検討できますし、しばらく医療機関にかかっていないなど、自身の体調を知ることもできます。なお、人工透析や、人工肛門造設、喉頭全摘出などのケースでは1年6カ月を待たずに障害年金が給付されます。
ただし、障害等級に認定される可能性があっても医療機関でそれを知らせてくれるとは限りませんから、日本年金機構のホームページで確認したり、年金事務所の窓口に相談してみることが大切です。一定期間、年金保険料を納付していることなどが条件となっていますので、自営業の人は、未納がないよう、くれぐれも注意してください。
図は長期療養で働けなくなった場合の収入について整理したものです。年収500万円(標準報酬月額36万円)の会社員が病気やケガで働けなくなった場合、1年6カ月は傷病手当金が約24万円、その後、障害等級2級に認定されると障害年金が約13万円支給されます。公的な保障は助かりますが、収入減は避けられません。もちろん、ボーナスももらえません。
死亡したり、一定の高度障害にある場合には、団体信用生命保険によって住宅ローンの返済が免除されたり、生命保険の死亡保険金が受け取れたりしますが、生きていれば、働けない状態であっても住宅ローンの返済は続きますし、死亡保険金も出ません。生活費も治療費もかかります。
もちろん、命は何より大切ですが、経済的な観点からいえば働けない状態が続くほうが大変なのです。持ち家などの資産があると生活保護を受けるのも困難です。
特に自営業の方は、傷病手当金がありませんし、障害年金も、厚生年金加入者より少なく、リスクは大きいといえます。