「下関北九州道路」は安倍首相と麻生氏の地元をつなぐ道路
塚田氏の辞任について、朝日新聞の社説(4月6日付)は次のように指摘する。
「政権・与党は国会審議や統一地方選への影響を最小限に抑えたいようだが、予算の背景に政治的な配慮があったとしたら見過ごせない。これで幕引きではなく、国民が納得できる説明が必要だ」
塚田氏の辞任は、トカゲの尻尾切りと同じだ。トカゲの胴体である安倍首相や麻生氏をたたくべきだ。
問題の「下関北九州道路」は、山口県と福岡県、つまり安倍首相の地元と麻生氏の地元をつなぐものだ。2008年に凍結されたが、2017年度に地元自治体と国による事業化調査がスタートし、本年度からは海峡横断プロジェクト6ルートで唯一国の直轄となった。朝日社説は指摘する。
「塚田氏は福岡県知事選の自民党推薦候補の集会で、自民党の吉田博美参院幹事長から『これは総理と副総理の地元の事業だ』と言われ、自らが忖度して国の直轄調査にしたと語った」
「発言が問題になった後、『大勢が集まる会だったので、われを忘れて、事実とは異なる発言をした』と釈明したが、にわかには信じがたい。吉田氏との面会には、国交省の幹部職員も同席した。当時の記録を公開し、実際にあったやりとりを明らかにすべきだ」
自らの性格を「慎重すぎる」という塚田氏が、「われを忘れる」のはやはり信じがたい。公的記録をもとにことの真相をはっきりさせるべきである。
「罷免するどころか、かばい続けた首相の責任は重い」
朝日社説の後半は、矛先が安倍首相と麻生氏に向けられる。
「16年3月に与党議員が国交相あてに提出した早期実現を求める要望書には、首相も名を連ねていた。首相は『知らなかった』というが、調査を復活した経緯は、その妥当性も含め、検証されねばならない」
「この間、塚田氏を罷免するどころか、かばい続けた首相の責任は重い」
「麻生氏はいまだに公文書改ざんなどの責任をとらず、財務省トップの座に居座り続けている。首相はそのことを問題視する風もない」
「首相は塚田氏の辞任を受け、『一層気を引き締めて、国民の負託に応えていく』と記者団に語った。政権のおごりや緩み、政治責任を軽視する体質が本当に改まるのか、厳しく注視し続けねばならない」
本当に安倍政権の驕りが改善されるのか。沙鴎一歩も疑問である。