トヨタコネクティッドはITとトヨタの融合

設立は2000年。トヨタのコネクティッド戦略の中枢を担う。従業員は800人。

「クルマユーザーとITを通じて接点を持つこと。様々なメディアを通じてユーザーが求める情報を発信できる仕組みを作る」

会社案内にはこうある。コネクティッドは車につながる仕組みだけれど、車だけでなく、運転するユーザーともつながっているんだと強調しているのが、トヨタコネクティッドの特徴だ。その証拠に同社はオペ―レーターを自社で採用、教育している。人工音声のガイドによるエージェント機能もあるけれど、同社のオペレーターは業界では最も長い経験を持っている。つまり、さまざまな顧客の問いかけ、要望に接している。

最初から結論を言うようだが、トヨタコネクティッドを賢く使うには、オペレーターサービスに慣れて、道案内だけでなく、レストランやホテルの予約をためらいもなく依頼することだ。

以下、友山茂樹トヨタコネクティッド社長のインタビューをお届けしよう。

かつてパソコンは「つながらない」道具だった

――ものすごく簡単に言うと、自動車におけるコネクティッドの価値とはなんでしょうか。

【友山】はい。ものすごく簡単に言いましょう。

昔の話ですが、かつてパソコンは「つながらない」道具でした。つながらないまま、パソコン本体でワープロ、表計算などをやっていた。ところがインターネットが一般化し始めて、パソコンにモデムがついて、ネットワークにつながった。今ではパソコンはインターネットにつながって動くのが前提になっています。シンクライアント(Thin client)という言葉がありますけれど、ユーザーの端末では最小限しか処理をしないで、中身はすべてクラウドにあるようにもなりました。

つながることによって、価値は飛躍的に高まり、さまざまなことができるようになったのです。車とコネクティッドの関係はパソコンとインターネットみたいなもので、車もネットワークに常時、つながることによって、便利になり、新しい使い方が生まれます。

――つまり、今の自動車は通信機能が発達している、と。

【友山】おっしゃるとおりです。今の車は通信機器もさることながら、さまざまな装備が増えて、まるでジェット機のようになっています。たとえば安全装置、自動ブレーキが付加されました。これが自動運転に近づいていくと、カメラやセンサーがさらに多くなります。制御装置、アクチュエーター(電気エネルギーを運動に変換する装置)などはさらに複雑なものに変わっていく。そうすると、機能を正常に保つために定期的なメンテナンスが必要になってくる。ジェット機が1回、飛ぶたびに格納庫でメンテナンスを受けるのと同じようになっていくのがこれからの車です。