当初は二階氏の「4選論」を歓迎していた
二階氏の発言の直後、安倍氏は悠然と構えていた。むしろ歓迎していたと言っていい。安倍氏が3選目の総裁任期が切れる2021年9月よりも長く首相でいる可能性が出ることで、レイムダック(死に体)にならないで済むからだ。石破氏らが、かみつくのも想定の範囲内だった。
実際、二階氏の発言の直後の13日の参院予算委員会では安倍氏は「私も今年65歳となるが、まだ働きたいという意欲は満々だ」と意味深な発言。14日には参院予算委員会で4選論を問われ「党則で禁じられている。ルールに従うのは当然だ」と語っている。一見、4選を否定した発言のようだが、ルールさえ改正されれば4選を目指す意欲があるとも受け取れる。
この発言を受けて永田町では「やはり安倍氏は4選を目指していて、二階氏と連携して政局をつくろうとしている」という観測が流れるに至った。安倍氏も、そういった噂が流布されることを楽しんでいるように見えた。
4選支持「たった9%」に衝撃を受けた
局面が変わったのは15日、時事通信社の世論調査で「4期12年まで延長するのがいい」と答えた人が、わずか9.0%に止まったのだ。「3期9年のままでいい」が63.5%。このデータは、安倍氏の4選を有権者が評価していないのに加え、安倍氏の4選をうかがう動きに対して不快感がひろがっていることを意味する。
この調査では「次の首相にふさわしい人」も聞いているが、断トツ1位は小泉進次郎・厚生労働部会長で24.4%。安倍氏は2位の石破氏に次ぐ3位で14.2%にとどまっている。この調査からも、有権者は「3選後」を安倍氏に託す考えが乏しいことが分かる。