参院選の争点が「4選」になりかねない

今のままの状態を続けると7月の参院選では「安倍氏の4選を認めるかどうか」が争点となるだろう。そうなれば「安倍1強」が長く続いたことによる傲慢さが問われることになる。

有権者も自民党に対する不信感を高めるだろうし、何より野党が結集しやすくなる。原発政策や消費税などの政策課題での「小異」にこだわってなかなか結集が進まない野党だが「安倍4選阻止」ならば何の問題もなく結集できる。それは安倍氏にとっても、自民党にとっても最悪の展開だろう。

ちょうど、この調査が出回ったころから安倍氏の周辺から「安倍首相は二階氏の発言に怒っている」という情報が発信されるようになる。そして、冒頭で紹介した「正真正銘、3期目が最後の任期」発言につながるのだ。

参院選と衆院選に勝てば、流れは止まらない

ただし、あらためて強調しておきたいのは、安倍氏は「4選」という選択肢を捨てたわけではない。今はいったん沈静化させたうえで、仕切り直ししようという考えだ。

7月には参院選がある。このタイミングにあわせて衆院を解散して同日選になるという観測も残る。同日選にならなくても今秋もしくは来年中、安倍政権の間に衆院選が行われる可能性が高いだろう。参院選と衆院選に勝てば、党内では総裁4選論が台頭することは間違いない。その時までは、4選への意欲は封印するというのが安倍氏が描くシナリオなのだ。

「『最後の任期』と明言しているのだから4選は目指せないのではないか」と考える人がいるかもしれない。しかし、政治家の進退を巡る発言は融通無碍だ。本人は出る意思がなくても、周囲の要望に応える形で選挙に出馬する例はいくらでもある。

たとえば橋下徹氏が「2万%出ない」といいながら大阪府知事選に出馬したのは記憶に新しい。自らつくった多選禁止規定を、自ら破って多選の道に足を踏み入れる首長もしばしばいるのだ。その前例をみれば、したたかな安倍氏が「最後の任期」という言葉に縛られると考えるのは早計だろう。

(写真=時事通信フォト)
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