EU離脱の意思を撤回せよ
そもそも大陸への不信感は世代が変わるごとに薄らいでいる。英国民の投票行動が、若い世代ほど親EU的であり残留派であったという事実がその証拠だ。メイ首相ではなく後継の首相になるかもしれないが、英国の政治家が果たすべき責任は、離脱の意思を撤回することにほかならないのではないだろうか。
英国のEUへの依存度は、EU離脱を支持する内外の人々が想像していた以上に強かった。だからこれだけの混乱が起きている。繰り返すように民意が合理的だとは限らない。極めて高度な政治判断を国民投票に委ねることには大きなデメリットがある。英国の混乱は、それを示しているといえる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部 研究員
1981年生まれ。2005年一橋大学経済学部、06年同大学院経済学研究科修了。浜銀総合研究所を経て、12年三菱UFJリサーチ&コンサルティング入社。現在、調査部にて欧州経済の分析を担当。