まだ上がる穴場が多数

東京東部は、通勤に便利な場所のマンションをAIは上がると評価したようだ。上昇率1位は、千代田区の「神田」。「住居地区というイメージはないですが、東京駅に歩いていけるのは大きな魅力です。ファミリータイプは希少価値も高いでしょう」(井出氏)。もし大型マンションが開発されたら狙い目といえそうだ。上昇率2、3位は「門前仲町」と「上野」。「上野は穴場ですね。上野恩賜公園や動物園、アメ横があってマンションなんて建たないと思われがちですが、雷門方面に行くと意外とあります」(櫻井氏)。

千葉は「現状、東京のベッドタウンのエリアしか価格は上がっていません。千葉駅周辺になると、地元の人気は高いのですが、東京の通勤圏と捉える人は少ないでしょう」(井出氏)。下落率ワースト1位は「新検見川」。住環境は良好だが、都内通勤派にはやや遠いかも。上昇率1、2位は「我孫子」と「市川」。「どちらも交通の利便性がよく、我孫子も千代田線で都心に乗り換えなしで行けます」(櫻井氏)。

城北・谷根千の人気が急上昇

東京北部は「赤羽や王子といった城北エリアや谷根千エリア(谷中・根津・千駄木周辺地区)の人気が上がっている」(井出氏)というのが、上昇場所が多い理由のようだ。上昇率1位は、都営三田線で都心まで20分の「板橋区役所前」。10分ほど歩いて東武東上線大山駅を使えば、池袋までわずか5分。「この利便性からして現在の価格が割安だとAIは判断したのでしょう」(櫻井氏)。上昇率2、3位は「大塚」と「根津」。「大塚は穴場。これから上がる可能性がありますね」(井出氏)。

「首都圏では、都心まで乗り換えなしで行ける“東京ダイレクトアクセス”が可能な沿線は強い。それが埼玉は限られている」とは井出氏。上昇率1、2位は「川越」と「南浦和」だ。「南浦和は浦和の隣駅なんですが、浦和より価格が安いのもAIが上がると予測した要因では。浦和の1つ先の北浦和になると、浦和止まりの電車が多くなるため、急に本数が少なくなります。そのため、東京寄りの南浦和は穴場的なエリア」(櫻井氏)。

高級邸宅が集まる東京南部はどうか

昔ながらの高級邸宅が集まる東京南部の中で、上昇率1位は「二子玉川」。駅東側の大規模再開発でショッピング施設と住居棟、オフィス棟などのある「二子玉川ライズ」が誕生し、セレブが集まる住宅地に生まれ変わった。多摩川に隣接する郊外でありながら、田園都市線が半蔵門線と直通し、都心まで1本で行ける。そうした理由からAIは今後も人気が続くと判断したようだ。上昇率2位は、渋谷まで急行で1駅の「三軒茶屋」。昭和の雰囲気が漂う一方、おしゃれなお店が多く、若い人にも人気だ。

神奈川の上昇率1位は、東急田園都市線と小田急江ノ島線が乗り入れる「中央林間」。東京都心へのアクセスに優れており始発駅なのも魅力だ。上昇率2位は「横浜」。新宿、渋谷、東京、池袋などどこへ行くにも乗り換えなしで便利。大型ショッピングセンターなど商業施設が充実していることに加え、利便性のよさが評価されたようだ。対して、神奈川のワーストの下落率1位は「川崎」となった。