もう1つ、四色定理の証明で注目したいのは、数学でいわれる「エレガントな証明」と「エレファント(象)な証明」についてである。数学の世界では、中学校の数学で習った「三平方の定理」の証明など、シンプルに表現できるものを高く評価し、「エレガントな証明」と形容することがある。

逆に、力業で地道な作業を多く行って証明するものを「エレファントな証明」と評する。エレファント、つまり象のように鈍重ではあるが、根気強く力業を駆使したうえで、達成された証明のことなのだ。まさに四色定理の証明は、エレファントな証明の代表といえるだろう。

とかく世の中はエレガントなものばかりに目が向きがちだ。しかし、四色定理のように、地道な努力を重ね、時間をかけて実証されたものが、実社会でたしかに役立っているという事実を、ぜひ知っておいていただきたい。

タカタ先生
日本お笑い数学協会会長
現役で高校の数学教師を務めながら、お笑い芸人として多くの人に数学の面白さを伝える数学教師芸人としても活躍。日本お笑い数学協会としての著書『笑う数学』がある。
 
(構成=田之上 信)
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