例えば、海上自衛隊機の低空飛行を示すシーンは、韓国軍の艦艇の上方を飛ぶ自衛隊機の姿を、救難作業中のボートから撮影したものだ。このわずかなシーンをもって韓国側は、海自機が威嚇的な飛行をしたと主張しているが、この時に海自機が韓国軍艦艇の直上を飛行していないことは、防衛省の発表した動画でも明らかにされている。その点を踏まえて韓国艦艇との距離を考えれば、海自機の飛行高度が極端に低いとはいえない。
防衛省の動画では、当初、海自機は警備艦に並走するように飛行し、その後、クァンゲト・デワンの後方を通過している。これは通常の監視活動ではセオリーともいえる飛行経路であり、相手に必要以上の圧迫を与えない配慮も感じる。海自機の高度変化はわずかで飛行速度も落ち着いたものだ。クァンゲト・デワンのマスト高は、おおむね40m~45mはあるので、海自機が最接近した際の映像からも、マスト高の3倍~4倍の高度は維持していることが分かる。もし、この飛行経路を見て威嚇的と感じるようであれば、軍人として問題だ。
ウソにも「つきよう」があったのだが
また、この後に発生したレーダー照射に対し、海自機からは再三にわたり韓国艦艇に無線での問い合わせを行っている。これを韓国側はノイズによって聞こえなかったとしていたが、韓国側の動画を見る限り、ノイズに重なって聞こえるジャパンネイビーという音声や、艦番号の呼びかけが判別できる。「脅威」を感じていたと主張する状況のなかで、海自機側の呼びかけを一切無視し返信も行わないという、韓国艦の奇妙な対応が明らかになった格好だ。
そして、話題の核となるレーダー照射については、韓国側は一切の照射を行っていないと言い続けている。実のところクァンゲト・デワンは、火器管制に使用可能なレーダーを2系統搭載しているのだが、そのうちひとつは水上・空中の目標を広域的にスキャンし、複数の目標をロックオンすることができる。ただ、それを火器管制に用いた場合、性能上の制約から動きの鈍い水上目標にしか対応できないとされる。
一方、今回、問題になっている方の火器管制レーダーは、単一目標をピンポイントでロックオンするタイプで、これはまさに航空機への対空ミサイル攻撃を専門に管制するものだ。