長女(4歳)の保育所の費用は月4万円弱。1~3歳の頃は月8万円かかった。生命保険は奥山さんの4000万円(60歳まで)の死亡保険や学資保険、職場の小口の団体保険などで月5万円。通信費は、固定電話と夫婦の携帯で2万円。スカパーで4500円少々払わないと地上波テレビが一切見られないのは痛い。

「自分、何だかんだでいっぱい引かれとるしなあ。おばあちゃん(義母)が陰でバックアップしてくれてるんとちゃうかな、と思う部分もあるし……ママのいる前でアレやけど」(憲治さん)

夫婦で浮世離れしてるとよく言われる、と笑う憲治さんの小遣いは月7万円。

「いつも“自己破産”しとるわ」(春恵さん)というが、前職でリストラされた経験もある。幸い現在の職場が程なく見つかり、給与面でもマイナスは免れた。

「惨めでした。当時を思い出すと、この先不安です、給料が上がることもあまり考えられんし」(憲治さん)

出産を機に憲治さんはスポーツジムを、春恵さんは生け花とお茶をやめた。近所では幼稚園児を塾やお稽古事に通わせる家庭が大半だが、「ウチはその分、旅行とか釣りとか、長女の感受性にお金をつぎ込む。年いってからできた子やし、一緒にいる時間を増やしたい」(同)。

2カ月に1回、国内で家族旅行に。年間50万~60万円使う。「長女が生まれる前は、何かと海外旅行ばっかり行ってました。昨年は8月に有馬、10月に北海道、12月に東京ディズニーランド。絶対に金、貯まらないですよね」(同)。

ただ、旅行で使うのはボーナスだけだ。

「住宅ローンの支払いにはボーナスは充てない。ボーナスを当てにしてローンを組んだ人が、払えなくて貯金を崩したり、車を処分してるのも見てるから、やっぱり怖い。毎月決まって入ってくる収入に勝るものはない」(春恵さん)

預貯金は、社内財形も含めて約450万円。必ず月2万円は貯金し、余剰資金を投資などに回したことはない。「貯金、600万くらい? 」とつい口にした憲治さん、「そんなにあるわけないやん! 両方失業したら、何年生きられるかわからんで」と春恵さんに突っ込まれ、またも絶句していた。

(撮影=浮田輝雄、永井 浩)