さまざまな地域があるように、資本主義も多様であっていい

こうしたGDPのもたらす矛盾は、東京一極集中ではなく、地域での生活や仕事を多様化していくなかで解消できるのではないか、と思ったのが「鎌倉資本主義」というものを考え始めたきっかけです。「鎌倉」のところには、それぞれみなさんがお住まいの地域名を入れて考えていただければと思います。

つまり「鎌倉資本主義」とは「地域資本主義」の1つです。それぞれの地域でGDPに代わる、あるいはGDPを補完する指標を考えていけばいい、つまり、資本主義も多様であっていいと思うのです。

新しい豊かさの指標をつくるのは、地域のさまざまなプレイヤーが関わるべきだと思いますが、そのなかでの株式会社の役割は、自分たちが得意なビジネスを通じて、新しい価値観が見直されるような環境をつくっていくことだと思います。

これまであまり定量化されてこなかった2つの資本

僕たちが考える「地域資本」は次の3つの資本で構成されています。

地域経済資本―財源や生産性
地域社会資本―人のつながり
地域環境資本―自然や文化

従来の資本主義における資本や売上に当たる部分が地域経済資本です。それに、地域社会資本と地域環境資本の2つを追加し、3つの資本をバランスよく増やすために企業、行政、NPOといった地域のステークホルダーが一緒になって取り組む。これが鎌倉資本主義の骨子です。経済資本以外の2つの資本は、これまであまり定量化されてこなかった価値です。
それを測るためにはどんな指標が必要なのか。それについては『鎌倉資本主義』という本に書きました。ここでは「地域資本」の具体例について、少し掘り下げたいと思います。

鎌倉が持つ地域資本には、どのようなものがあるのでしょうか。鎌倉は、都心まで電車で1時間足らずのアクセスでありながら、美しい自然があります。海と山に近く、歴史あるお寺や神社という文化資本に恵まれ、それがいずれも歩いていける距離にあるのが大きな魅力です。それを守り伝えるための景観条例が整備され、住民たちが景観を守る努力を重ねています。それもあって、住みたい街の上位にランクインしています。