おしゃべりになる必要はゼロ
では相手の警戒心をどう解くか。
「まず雑談をしなさいと教育されますが、雑談の目的を理解していないから、笑わせればいい、盛り上げればいいと思っている人もいて、それができないと悩んでいる人も多いわけです。
雑談の目的は相手の警戒心を取り除くことです。こちらから面白い話をする必要もないし、盛り上げる必要もありません」
警戒心を取り除くポイントは自分が話すことよりもいかに相手に話してもらうかだと渡瀬さん。初対面の人とでも、出身地や趣味などの話を交わしただけで、距離が急に近く感じることがある。
「相手が構えたまま、いきなり仕事の話を始めても、そういう感じにはなりません。では、相手がガードを下げてから話せばいいかというと、そうでもありません。自分の扱っている商品に興味があるのか。どこまで商品の知識があるのか。そもそも相手にとって本当に必要なものなのかを確認する必要があります」
これがヒアリングといわれるステージだ。
「相手が商品に興味があるのかないのかわからないのに、イチから説明し始める人がいます。練習ばかりしていると、どうしても商品の説明をしたくなってしまう。でも伝わらなければ、それはただの独り言です」