ゴミ袋を集積場に運んだだけで「ドヤ顔」を決める夫
1本2本ならば大した作業ではないが、「ちりも積もれば」になれば意外と時間を要す。加えてそれが、妻(母)が飲んだものではない家族の「尻ぬぐい」的ものであれば、妻にとっては……もう言わずもがなである。
揚げ句の果てに、玄関に用意されていたゴミ袋を集積場に運んだだけで「ドヤ顔」を決める夫……。そのお膳立ては全部妻がやってくれた、といった感謝や労いの気持ちは毛頭ない。哀しすぎる。
2の「補充」は、ビジネスで言えば「商品管理」である。在庫状態を見極め、補充するという作業である。例えば、トイレットペーパーやシャンプー。これらを買ってきて、整理しておく作業だけでも、疲れている時には負担に感じることがある。
しかも、家族はそれらが切れていることに気付いているのにしばしば「見て見ぬふり」をする。そして、妻(母)に一言、言い放つ。
「ないよ!(なんで取り換えてないんだ!?)」
常に完璧な「ご使用をお待ちしております状態」にするためには、気配りと補充という目に見えない家事が必要という認識が欠けているのだ。
「出しっぱなし」「散らかしっぱなし」「脱ぎっぱなし」
最後の3の「取捨選択」は、ポスティング、レシート、各種書類などの取捨選択のことだ。夕飯の残り物の整理などもこれに当たる。残り物にラップをするか、容器を移し替えて冷蔵庫で保管、翌日以降にそれをどう消費するかを考えて実行するというようなことだ。頭を使って考える。この「決断する」という行為には相当なエネルギー量が必要なことを忘れてはいけない。
以上の1~3に関して、家族が共通してしがちな行為がある。それは、「しっぱなし」だ。すなわち、「出しっぱなし」「散らかしっぱなし」「脱ぎっぱなし」。とりわけ夫の「○○しっぱなし」がなくなるだけでも、妻はかなり機嫌が良くなるはずだが、改善を期待することはできない。同誌が実施した妻(母)たちへアンケートではこのような結果が出ている。
A:お金60%、健康18%、時間13%、美貌7%、夫(パートナー)からの愛2%
妻たちはもはや夫からの労わり(いたわり)とか労い(ねぎらい)をもらうことをとっくの昔に諦めていると言えるかもしれない。実際、アンケート自由記入欄に「夫には何も期待していない」と書いた妻は多かったそうだ。
妻たちは「掃除・洗濯・料理」という“3大家事”をこなしつつ、「名もなき家事」の蓄積に日々、疲労感を募らせているように筆者には思える。それらはボディーブローのように確実に体力を奪っていくのだ。
もし、あなた(夫)がこれから先も「家内安全」を願うならば、この「名もなき家事」に目を向けて、少なくとも「○○しっぱなし」という状況を改善努力することをお勧めしたい。
これは現在、仕事を「言い訳」にしているあなたの定年後を救う話でもあるのだから。
※『プレジデントFamily2018秋号』では、「子育てにみんな悩んでいます! 小学生母505人アンケート」のほか、特集「東大生192人 頭のいい子の本棚」として「現役東大生自身の小学生時代の読書習慣と小学生に薦める本」「国語・算数・理科・社会・英語 5教科が大得意になる本」「筑附小、慶應横浜初等部、桜蔭中・高、筑駒中・高など名門校の図書館で読まれている本リスト」などを紹介しています。ぜひ手に取ってご覧ください。