「『書く力』と『話す力』は民間の検定試験を利用するという話が出ています」(同)。どんな民間の検定試験になるかは未定だ。こうした入試制度改革の背景には「みんなに英語をしゃべらせたいという国の思惑がある」(同)。「高校卒業時には英検の準2級を取得することが望ましい」というような目標も導入されている。

このように2020年度の大学入試は、いままでと出題傾向が大幅に変わるため、傾向が読めない。そこで現在、中学生を持つ親のあいだでは、確実に進める大学を確保しておける大学の附属校が人気だ。そこまでしなくても、大学入試に備えて家庭でできることもあるはず。

まず英語に関して言えば、英語嫌いにさせないことだと安田さんは言う。「子どもは意外と頑固だから、いったん嫌いになってしまうと好きにさせるのは大変。いまは英語の早期教育も盛んですが、嫌がるようなら無理強いしないほうが後々いい」。

記述式の問題が増える点に関しては、書く力、考える力をつけることが大事。そのためには、まず本をたくさん読んで活字に慣れ親しみ、書かれていることを読み解く、という能力を身につけることが効果的だ。

わが子への接し方にも気を付けたいと安田さんは言う。「親は子どもがわからないことがあって困っていたら、答えを教えるのが子どもを助けることだと思ってしまう。でもこれからは、なるべく子ども自身に考えさせること。回り道をどんどんさせて、日常生活でもいろいろな問いを投げかける。それが学力をつけることにつながる」。

日頃から、わが子に「自分で考える」訓練をさせよう
安田賢治(やすだ・けんじ)
大学通信常務取締役
情報調査・編集部ゼネラルマネージャー。1956年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、同社入社。以来、長年にわたり教育界や学校経営を見続けてきた。
 
(撮影=大泉 裕 写真=iStock.com)
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