子供を「上流ロード」に乗せるには、なにが有効なのか。「プレジデント」(2017年2月13日号)では、子育てをめぐる13のテーマについて識者にアドバイスを求めました。第13回のテーマは「留学」です――。

お金がなくとも、チャンスはある

海外の受け入れ大学が給付型奨学金を出してくれるケースは少なくありません。たとえばハーバード大学では約70%の学生が奨学金をもらっており、年収が700万円以下で、資産がさほどない家庭の子供なら、ほぼ無料で通うことができます。ただし、選択肢を広げるためにも日本の高校でいい成績を維持し、できればTOEFL iBT100以上、最低でも80以上のスコアはほしいところです。

写真=iStock.com/andresr

日本にも事務局がある「米国大学スカラーシップ協会」では、授業料・滞在費・食費の50%以上を支給してもらえる複数の大学を紹介しています。また、海外留学エージェントと提携している大学も多く、エージェントを通せば奨学金が適用されるというケースもあります。

狭き門ではありますが「グルー・バンクロフト基金」も見逃せません。これは、アメリカの一流リベラルアーツカレッジに留学するのを援助する奨学金制度。年200万円もしくは250万円が4年間支給されます。留学先から授業料を全額免除される場合には、生活費として年100万円の支給となります。

アメリカの平均的な大学に奨学金なしで海外留学した場合、学費や生活費込みで年400万円以上かかります。その半額が奨学金で賄われれば、残りは年200万円。いくつかの奨学金を組み合わせ、その金額をもっと少なくすることも可能です。

もちろんなかには、教育ローンや貸与型奨学金を利用する人もいます。たとえば年100万円分は借金をし、年100万円分のみ手持ちのお金で支払う形です。4年間で計400万円の借金を背負うことになるわけですが、日本にはグローバル人材があまりにも少ないため、海外の大学の卒業者は就職先を選び放題。短期返済も可能です。

たった1年間の海外留学でも就職では大きな武器になります。日本の大学を卒業しているという安心感がベースにあるうえ、TOEFL iBTで80以上のスコアをとっていれば英語力があることがわかる。加えて海外での生活経験があるとなれば、その実績も評価されるわけです。